原発から逃げられない日本
「国・政府は原発から逃げられない日本にしてしまった」と山崎誠衆議院議員は2024年3月5日(火)、衆議院第一議員会館の会議室で行われた「福島発行動隊」の院内集会「原子力基本法の改悪について」で話した。
原子力基本法は関連法の上位に位置付けられる重要な法律であるにも関わらず、「ほとんど国民の皆さんが知らないうちに経済産業省主導でどんどんいじられてしまって、原発利用が固定化されてしまい、原発から逃げられない日本にすると政府は決めてしまったのです」。
原子力基本法改正について「とにかく原発を利用していこうと明記しました。国の責任が非常に厚くなった。ということは、国が電力事業者を支援しないと(原発推進は)出来ないということを言っているようなものです」と立憲民主党所属の山崎議員は話す。
「原子力基本法は本来、内閣府の所管で経産省は触ってはいけないと思う。上位の法律であったのに経産省がどんどん変えていった」。
「今、経産省がやっているのはエネルギー政策を歪めて変な方向に日本を持っていこうということで、大変危惧している」と山崎議員は話した。
危惧すべき歪められたエネルギー政策
山崎議員は改正された原子力規制法を条文ごとに見ていった。
第一章総則の(目的)第一条に「地球温暖化防止」を入れることで「グリーントランスフォーメーションの文脈の中での位置づけが明確にされた」という。「これは一つの大きなポイントです。原発推進に拍車がかかった」。
そして基本方針が新設された。「原発事故の教訓ということを書きこんで、(経産省や大臣は)自慢している。この条文を新設したのは安全優先だといばっている。しかし、非常に問題だと思っています」。
「事故の発生を常に想定して、その防止に最大の”努力”をしなければならないという”認識”に立ってというが、認識を持っていればいいのか?努力とか認識とかそれで安全義務を免れるんでしょうか?という感想です」。
「努力すりゃいいや、認識しただけでいいやというのは、”新たな安全神話”だと思います」と山崎議員は発言した。
法律と裁判所判断の祖語
「面白いのは”国が主体”で福島第一原発事故を真摯に反省していること。事故の被害者たちによる訴訟で最高裁は電力会社の責任は認めたものの国の責任は認めませんでした」。
「その裁判所の判断と法律に書かれていることが違う。政府はこの法律の意味や責任の所在について真剣ではありません。詭弁です」。
第二条の二の2で「今まで民間の責務だった原発が立地する地域住民の説得についても、国が電力会社を全面的にバックアップすると謳われています。産業基盤の維持強化も国がやると踏み込んだ条文を作っています」。
「逆にいえば、それくらい国がやらないと人材が確保できないという原発をめぐる厳しい状況が見えてくるのです」。
第二条の三の三では電力自由化が進んで再生エネルギーがたくさん入ってきても、原発が不必要になることなく、なおも原発事業を安定的に行えるように国が環境整備をするとある。
山崎議員は「これはおカネのことだと思います。原発のコストが高くてペイしないことが見えていても国は環境整備する。補助金とかで”環境整備”するんでしょう」と説明した。
経産省がもくろんでいたこと全て
第十六条ニの2では原発の運転期間についての規制を「利用」の観点からのみ規定していると山崎議員は指摘。「経産省がもくろんでいたことがすべて盛り込まれています。彼らの思惑通りの改正が進んでしまった」。
「本来やるべきは再エネとか省エネとかを本気でやること。そうしないと化石燃料(の使用)は減らせない」。
2023年5月、政府は原子力基本法を4つの法案ー電事法、運転期間に係る規定、原子炉等規制法、高経年評価の法定化ーとあわせて改正しようと仕掛けてきた。運転期間の規定についてはそれまで原子炉等規制法のもとの規定だったが、それが電事法へ移管された。
それによって「運転期間40年。20年ごとに延長可。回数制限なし」とされた。2011年の東電福島第一原発事故の後に採用された原発政策が180度転換されたのだ。
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