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洋楽あれこれ:恋するデビ―

 1970年代最大のヒット曲は何か?米ビルボード誌が2014年に発表したところによると、70年代ヒット・チャートの首位に輝いたのはデビ―・ブーンの「恋するデビ―(You light up my life)」。
 ちなみに2位はロッド・スチュワートの「今夜決めよう(Tonight is the night)」、3位がシックの「おしゃれフリーク(Le Fleak)」だった。
 デビ―・ブーンは、「砂に書いたラブレター」などのヒット曲で有名な米歌手パット・ブーンの三女である。母親はカントリー音楽のスター、レッド・フォーリー。14歳の時に、両親、3人の姉妹とともに活動を開始。
 その「ブーンズ」は70年代半ばにABBAの「落葉のメロディ」などでアダルト・コンテンポラリー・チャートをにぎわせた。
 デビ―は姉たちが結婚し、妹が大学に進学すると、自身のソロキャリアを模索する。そこで出会ったのが「恋するデビ―」という楽曲だった。
 77年9月3日にビルボードHOT100の71位に初登場。そして6週間後に首位を獲得し、その座を当時としては史上初の10週連続して守った。デビ―弱冠21歳の時のことだった。
 デビ―の快挙について父パットは「娘が初めてのレコードで、私のしたこと以上のことを成し遂げるなんて、本当にセンセーショナルなことだったよ」と話していた。

神に感謝する歌なのか?
 「恋するデビ―」はジョー・ブルックスの作詞・作曲で、プロデュースも兼ねていた。この作品は同名映画(邦題「マイソング」)のために書かれたものだったが、映画ではデビ―のバージョンは使われずにケーシー・シシックの歌がサントラに収録されていた。
 「恋するデビ―」の日本語ライナーノーツによると、ショーン・キャシディやリーフ・ギャレットなどを売り出して、スターづくりの名人といわれたマイク・カーブのプロダクションで制作されており、売り出し作戦にはぬかりがないだろう、と言われていた。
 この歌の邦題だけではわからないが、原題の「You light up my life」とその歌詞を読んでいくと、単なるラブソングにとどまらない深みに気づかされるーー夢を心に秘めていく晩も一人で待っていた。暗闇の中ひとりでそこに現れたのがあなた。あなたは私の人生を明るく照らしてくれた。何とかやっていく希望をくれたーーとあなたへの感謝にあふれた歌詞だ。
 この歌詞の「あなた」を単なる恋人や恩人ではなく神ととらえることも可能ではないだろうか。デビ―自身も「神」を感じていたという発言もある。そのことがこの楽曲に深みを与え、より多くの米国人に訴える力をもたらしたのではないか。
 デビ―が79年に結婚したガブリエル・フェラーは米国聖公会の聖職者である。「恋するデビ―」の大ヒット後は、ミュージカルへの出演や子ども向け絵本の作者として活躍したデビ―。
 現在もコンサート活動などを続行中だ。

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