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クリスマス・ソングの季節!

 これまでに多くのクリスマス・ソングを集めたアルバムがリリースされてきた。今年もそんなホリディ・シーズンに入った今、まず紹介したいのは、カーペンターズの『クリスマス・ポートレイト』(1978)。クリスマスの定番曲の数々を、カレンが艶やかで心温まるボーカルで歌い上げている。
 カレンは当時、こう語っていた。「クリスマス・アルバムはずっと作りたいと思ってたの・・・このアルバムの録音には1年以上かけたのよ。スタジオの廊下を通る人は、“この8月の最中に何やってるの? もうクリスマス?”って感じだった。でも私は1年中ずっとクリスマスでもいいし、昼でも夜でもって感じ。クリスマスって大好きだもの!」
 カレンが亡くなった後、兄リチャードは彼女の遺志を継ぎ、前作に収録し切れなかった楽曲群を使って’84年に『オールド・ファッションド・クリスマス』をリリースした。


 近年のクリスマス・ソングとして最も有名なのはマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」だろう。山口智子、松下由樹、柳葉敏郎らが出演したフジテレビ系ドラマ「29歳のクリスマス」に使われたことから、人気が爆発。この曲を収めたアルバム『メリー・クリスマス』(94)は全世界で1400万枚、日本だけでも280万枚のセールスを記録した


 クリスマス・クラシックともいえるのがビング・クロスビーの『ホワイト・クリスマス』だ。1941年発売の「ホワイト・クリスマス」はおよそ5000万枚を売り上げ、「ギネス世界記録」にレコード史上最も売れたシングルとしてその名を刻んでいる。
 もともとは1945年に『メリー・クリスマス』としてリリースされたアルバムだが、レパートリーを拡大して、その名曲をタイトルに冠した『ホワイト・クリスマス』として86年に再発された。


 米ローリングストーン誌は2019年に「史上最高の“クリスマス・アルバム”トップ25」を発表した。堂々の1位に輝いたのは『クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター』(63)だった。
 スペクターが生み出した「ウォール・オブ・サウンド(音の壁)」が全編を貫き、ロネッツ、クリスタルズらがボーカルとして参加。「ポップ・ミュージックの名盤」としても人気を博している。
 Sony Legacyから再発された輸入CDが現在も入手可能だが、残念ながらジャケット写真は、サンタクロースに扮(ふん)したスペクターではない。


 米ローリングストーン誌のランキングで2位につけたのは「キング」ことエルビス・プレスリーの『エルヴィス・クリスマス・アルバム』(57)。発売後、1カ月にわたって米ビルボードチャートの首位に君臨し、約2000万枚を売り上げたという。


 マイケル・ジャクソン擁するジャクソン5の『クリスマス・アルバム』では、マイケルのキュートなナレーションで始まる「ママがサンタにキスをした」や、「サンタが町にやってくる」、「赤鼻のトナカイ」などのクリスマスの定番曲を聴くことが出来る。
 夏のイメージが強いビーチ・ボーイズ初のクリスマス・アルバム『ビーチ・ボーイズ・クリスマス・アルバム』(64)の再発に伴い、第2弾として77年に録音されながらも発売されなかった『メリー・クリスマス・フロム・ザ・ビーチ・ボーイズ』からの6曲を収録した完全盤(98)として昨年、ユニバーサルから発売されていた。
 「ホワイト・クリスマス」と「ブルー・クリスマス」ではブライアン・ウィルソンが素晴らしいボーカルを披露している。
 2006年のクリスマスに世を去ったジェームス・ブラウンはキャリアのピーク時にクリスマスをテーマとしたアルバムを3枚レコーディングした。
 陽気なソウルパワーが全開の『ジェームス・ブラウン・シングス・クリスマス・ソングス』(66)、『ソウルフル・クリスマス』(68)、『ヘイ・アメリカ(イッツ・クリスマス)』(70)だ。
 面白いところでは、2009年に発表されたボブ・ディランの『クリスマス・イン・ザ・ハート』。米ローリングストーン誌は「このしわがれたバリトン声が同作に従来の価値観を覆す魅力を与えているのだ・・・ディランは本物のノスタルジーと淡い繊細さを込め、昔のアメリカ音楽に敬意を示しながらも自らの物語の一部として解釈している」とした。


 まだまだ多くのクリスマス・アルバムがある。自分のお気に入りの一枚を見つけてみるのも楽しい、そんな季節だ。

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