映画「プリシラ」を観て
プリシラって誰?という人もいるだろう。
ロックンロールの王様エルヴィス・プレスリーの妻だった人だ。
映画「プリシラ」(2023年/アメリカ、イタリア/113分/ハイキュウ:ギャガ)を2024年4月12日(金)に観た。
監督・脚本はソフィア・コッポラ、プリシラ役にケイリー・スピーニー、エルヴィス役にジェイコブ・エロルディ。
エンディングで流れる「I will always love you」。ドリー・パートンの作品だが、ホイットニー・ヒューストンの歌唱が最近では有名だ。
結婚式で流されることもあったようだが、もちろんこの映画では本来的な意味で使われているー「あなたのもとを去らなければならない。けれどもあなたのことはずっと愛し続けるわ」。
プリシラと別れる時、エルヴィスはこの歌を口ずさんでいたという。
プリシラは1959年、エルヴィスとは彼が入隊後駐在していた西ドイツ(当時)で出会う。エルヴィスはまだ14歳だったプリシラに一目ぼれだった。全く別世界に住む二人。エルヴィスの住むグレイスランドとプリシラの通う学校とが対比するかのように交互に出てくる。
どちらがリアルな世界なのか。プリシラは初めはエルヴィスと一緒に別の世界に行ったかのようだった。そしてプリシラは学校に戻ると、今度はそこが別世界でどこか空虚な気持ちを感じるようになる。
エルヴィスは南部の保守的な男だ。だから「その時が来るまで」肉体的な関係は持たないとプリシラにいう。たとえプリシラに求められてもだ。
睡眠薬やのちのLSDといったドラッグによってだろうかエルヴィスは時に短気で「危険」な姿を見せることも描かれている。
そしてエルヴィスの浮気に悩むプリシラ。
しかし、二人の間で決定的だったのはそういうことではない。
プリシラが今まではあくまでもエルヴィスの妻だったことに気づき、プリシラという一人の女性としての人生を歩もうと決断したからだ。
多くの人たちに囲まれていても孤独だったプリシラ。そしてエルヴィスもそうだったのだろう。だから惹かれあったのかもしれない、孤独な二人が。
プリシラは離婚後、自分の道を歩んでいるのだろうか。
エルヴィスは1977年にこの世を去った。
そして二人の間の一粒種リサ・マリーも昨年春亡くなってしまった。
今、プリシラはどうしているのだろうか。
音楽評論家・作詞家の湯川れい子さんは筋金入りのエルヴィスファンだ。
その湯川さんが気になることを書いていた。
「エルヴィスが亡くなってから、エルヴィスのために47年間も口に出すのを我慢して来ましたけれど、私も初めて言います。 エルヴィスを捨てて、あげく最後まで嘘と虚飾に生きたプリシラが、私も大嫌いです(^^;)」。
私は分からない。しかし、そのストーリーも映画になりそうだ。
趣味が悪いと言われるかもしれないけれど・・・
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