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昼の「夜パンカフェ」

 「夜のパン屋さん」という活動がある。これはパン屋で売れ残った商品を夜廉価で、ホームレスの人など生活に困窮している人達が販売することで彼らに社会との接点を持ってもらい、かつフードロスを減らす事業である。
 2024年10月12日(土)、昼に「夜パンカフェ」が「けやきの森の季楽堂」(東京都練馬区早宮3-41-13)で開かれた。
 主催したのは認定NPO法人ビッグイシュ―基金だ。同基金の説明をする前に、「ビッグイシュー」という雑誌があることをご存じだろうか。
 原型が1991年にロンドンで生まれたビッグイシュー。質の高い雑誌を作り、それをホームレスの人たちに販売してもらうことで彼らに仕事を提供し自立を応援しようというコンセプトの雑誌だ。
 2003年秋、その事業が日本に上陸した。
 そしてビッグイシュー基金はホームレスの人たちなど困窮者たちの生活自立の支援を行っている。具体的には住宅支援などで、仕事で収入を得られるようになった次を支援しようということだ。

夜パンカフェの会場ではビッグイシューの販売も 
ビッグイシュー基金の高野太一事務局長

 今回の夜パンカフェは「NPO法人文化学習協同ネットワーク」(東京都三鷹市)と「認定NPO法人育て上げネット」(大阪市北区)という2つの連携支援団体の協力を得て開催された。
 まず育て上げネットが開いた「売らない珈琲屋」を訪ねた。ブースで働いている若者の中には生活困窮者だった者もおり現在社会との接点を求めてこうしたイベントに参加している。
 コーヒーの準備をしている20代の青年は一種の引きこもりだったのだという。「出たり入ったり型というのでしょうか、最初はうつといわれ、あとで対人恐怖症といわれました。大学をドロップアウトして、もう一回戻ろうとしてメンタルをやられてしまいました。クリエイターとかもしていたのですが、今回は社会とのつながりを持ちたいということで関わりました」。
 その青年のような若者が関わっている「風のすみか」という三鷹市のパン屋のブースもあった。文化学習協同ネットワークが運営している。

コミュニティベーカリー「風のすみか」のブース


 同ネットワークの藤井智常務理事は「職人のもとでだいたい10人くらいの若者が様々なかたちで働いています」と話す。
 神奈川県の相模原に自前の農場を持っており、じゃがいも、ブルーベリー、小麦などを作っており、販売しているパンにも使われている。
 「国産小麦はグルテンが少ないので膨らみにくい」ので苦労するそう。
 (日本では輸入小麦が使われることが大半。ただポストハーベストという輸入小麦に吹きかけられる「農薬」の問題が指摘されているのも事実)
 ここで手伝っている若者たちはフリースクール「コスモ高等部」(東京都三鷹市)の生徒たちだと藤井さんはいう。
 また、「夜のパン屋さん」をいつも開いている各地のパン屋も商品を持ってきたーーテトリエ・フック(白金高輪)、ビストリーナ・ディオ(王子)、エスプリドゥ(江戸川)、すずめベーカリー(関町)、茜パン工房(池袋)、ファミーマ代官山(江古田)。

「夜のパン屋さん」参加ベーカリーの商品が並ぶ

 一つ国際色があるブースがあった。「MAMAYA africa 西アフリカのSHOP 布で作った雑貨」だ。西アフリカとはマリ、ギニア、セネガル、カメルーン、ガンビア、ウガンダといった国々を含む。

西アフリカの雑貨


 材料費を除く売上金額が「つくろい東京ファンド」(東京都中野区)の難民支援に充てられる。また、現地の食べ物も販売されていた。
 グリーンピースがたっぷりと詰まった「サモサ」。ウガンダの典型的ストリートフード「ロレックス」は小麦粉、卵、タマネギ、ニンジン、ピーマンなどから成る。

サモサ 
ロレックス

 フリーマーケットも開かれた。

フリーマーケット

 筑波山の麓で育てられた低農薬米の販売も。3代目の農家の西寄誠人さんによると、最初に一回薄い薬をまくだけだという。「牛を飼っているので糞尿を完熟させて肥料に使っています」。
 今回販売されたのはこしひかりと、ここ3,4年流通している比較的新しいお米「にじのきらめき」の2種類だった。にじのきらめきは粒がしっかりしているのが特徴で、味はこしひかりに近いそうだ。

西寄誠人さん(左)

 地元の白石農園なども出品していた。
 アスパラを収穫する際に切ってしまう部分を使ったお茶「翠茎茶(すいけいちゃ)」が売られていた。「ももも商会」(キュリアス)の石倉詩子さんによると、このお茶はノンカフェインで葉酸が豊富で話題だという。

白石農園のブースにて石倉詩子さん 
近隣の農家たちが育てた野菜も並んだ 



 


 


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