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企画展「ハンセン病と朝鮮人」
「市民がつくる日本とコリア交流の歴史博物館」である高麗博物館(新宿区大久保1-12-1第二韓国広場7階)で行われている企画展「ハンセン病と朝鮮人ー壁をこえてー」を2024年1月27日(金)に訪れた。
同展は6月30日(日)まで開催されている。開館時間は正午から午後5時(入館は午後4時半まで)。休館日は月・火曜日および年末年始(祝日でも月・火は休館)。入場料は一般400円、中・高生200円。
戦前、日本政府はハンセン病撲滅をスローガンに無らい県運動を呼びかけ、官民一体で患者の絶対隔離を推進した。
怖い病気というイメージは、戦後治る病気となっても払拭されず、基本的人権をうたった日本国憲法下でも、「公共の福祉」が優先されて、強制隔離などを伴った「らい予防法」は1996年まで存続していた。
ハンセン病はらい菌による感染症である。感染力が弱い病気だが、栄養状態や衛生環境によって高い確率で発症したことが分かっている。
植民地下で貧しい生活を余儀なくされ、過酷な労働を強いられた在日朝鮮人の発症率は高く、療養所にも多くの朝鮮人がいた。
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公式パンフの「はじめに」はいうー「90年近く続いた隔離政策によって、取り返しのつかない「人生被害」に苦しんできたハンセン病患者とその回復者たち。中でも、いわれない民族差別を受けてきた在日朝鮮人が、隔離された療養所で生きるとはどういうことなのかを想像してみて下さい」。
この企画展では、在日朝鮮人入所者の生活実態、植民地挑戦の隔離政策、そして戦後に国籍をはく奪された在日朝鮮人ハンセン病患者たちの苦しみと闘いを考える。さらにハンセン病と優生思想、部落差別、文字などの具体的事例を紹介している。
2020年、新型コロナが蔓延し、私たちは「感染症と差別」の問題に直面した。あれから4年、あらためてハンセン病をめぐる差別の壁をこえることができるのか。
「コロナ禍を経験したいま、ハンセン病をめぐる差別偏見の壁をこえようとした人々の生き方に光を当て、私たち日本社会の在り方を問うという試みが今回の展示です。過去の過ちを繰り返してはならないという思いを私たち一人ひとりが分かちあえてこそ、希望ある未来につながるのではないでしょうか」。
なお常設展ではチマチョゴリなどの民族衣装、伝統楽器、発掘された器などが紹介されている。
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2001年、11年の準備の後、東京・新宿の現在地に高麗博物館が開館。2013年にハングル講座を開始する。
「高麗」とは「コリア」の意味、つまり韓国と朝鮮をひとつに捉えた言葉だという。有史以前から、朝鮮半島と日本の人々は豊かな交流があり、先進文化は朝鮮半島を通じて日本に伝えられてきた。
ところが日本は近代以降コリアを侵略し植民地とした。しかし戦後、日本はこの事実に向き合ってはこなかった。在日コリアンが日本にいるということ、今も差別が続いているということは、過酷な植民地支配の歴史を象徴している。日本人の多くは、そのような歴史や、コリアンの心の内も、ほとんど理解しようとしないで過ごしてきたと思える。
このようなことを踏まえて、高麗博物館は日本とコリア交流の歴史博物館として展示などを通じ、相互の歴史・文化を学び理解して友好を深めることを目指している。また、在日韓国朝鮮人の固有の歴史と文化を伝え、民族差別のない共生社会の実現を目指している。