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新宿南口フォーク集会

 1969年、若者たちが新宿西口地下広場に集った。その数およそ7000人といわれる。ベトナム戦争に反対し、反戦ソングを歌った。その一大ムーブメントから「フォークゲリラ」とも称された。
 それから54年、2023年8月27日(日)に「新宿西口フォーク集会2023」が「こくみん共済Coopホール/スペース・ゼロ」(東京都渋谷区代々木2-12-10こくみん共済coop会館1F)で開かれた。
 日本でフォークソングが誕生して50数年の間に様々なメッセージソングが生まれて歌われてきた。世の中は変わったのか?もう一度あの時のエネルギーで音楽を通して今の世の中にメッセージを送ろうか、新宿南口から。
 司会も務めたいわさききょうこさんは言った「南口というので優しい雰囲気になっているのではないでしょうか。新宿フォーク集会と聞いてドキッとした方もいると思います・・・その時の熱量、若者たちのエネルギーに突き動かされて、後を追いかけ来ました」。
 この2023年新宿フォークイベントに政治色はほとんどなかったといえよう。政治色というならば、中川五郎さんが歌った2曲が社会的なテーマを扱っていたし、なぎら健壱さんの歌も風刺が効いていた。それぐらいだったような気がする。これも時代の変化なのだろうか。


 さて、オープニングは常富善雄(つねとみ・のぶお)さんと日暮風太(ひぐらし・ふうた)さんから成る「猫」が務めた。まずは人気ナンバー「地下鉄にのって」。続いて「各駅停車」と「雪」。2023年8月にニューアルバム「フェリス・コンフィデンシャル」を出したばかりだ。
 二番手はサスケさん。「姉貴とレモン」やかぐや姫の「神田川」から始まる「ポロンポロン」などを披露した。3番目の出演者はいわさききょうこさん。まずは「幻夏」と「ヘロヘロ河童」をギターで歌った。
 キーボードに移って一人芝居「神々の謡(うた)」のエンディング曲「はじまりの詩」を演奏した。この芝居は、アイヌそしてキリスト者として「アイヌ神謡集」を残した知里幸恵さんの19年の生涯を描いた作品である。
 第二部は元「古井戸」の加奈崎芳太郎(かなざき・よしたろう)でスタート。ロッカーのような風情で登場。「花言葉」をまず披露。18歳の時に東京に出てきて30年暮らしたと話して「さらば東京」を披露。
 次は、「六文銭」のメンバーだった四角佳子(よすみ・けいこ)さん。「出発の歌」などを歌った。シバさんが続いた。伝説の「中津川フォークフェスティバル」に高田渡らと参加したブルースを得意とするミュージシャンだ。「バイバイブルース」などを披露した。大きな拍手が起こった。
 大塚まさじさんがその次に登場した後、休憩に入った。
 第三部のオープニングは、上田正樹さんらと仕事をしてきた有山じゅんじさん。「岸里のジェームズ・テイラー」と呼ばれていた有山さんはテイラーの代表曲「君の友だち」を独特のギター奏法で歌った。
 元「ピピ&コット」のよしだよしこさんが歌ったのは「たんぽぽのお酒」、「ヨイシラセ」と「願います」。そして中川五郎さんが続いて「空飛ぶ金のしゃちほこ」を歌った。これは史実に基づいて城を再現したい側とエレベーター設置を望む市民との軋轢を歌にしたもの。
 そして中川さんは「パリャヌイツァ」を歌った。タイトルはウクライナ語で「パン」を意味する。ウクライナで不審人物を見つけると「パリャヌイツァ」と言わせて、うまく言えないと「敵」のロシア人だとみなして痛めつけるという話を歌にした。人間にとって言葉って何かを問いかけてきた。
 大トリはなぎら健壱さん。「銀座かんかん娘」をにぎやかに歌った。途中、即興だろうか「北側」「ジャニー」「メリー」が登場する小曲を歌うと「フォークシンガーは世間をちゃんと見ないといけません」。
 


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