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映画「原発をとめた裁判長」

 元旦に起こった能登半島地震。
 震源近くの北陸電力志賀原発などが心配されている。
 東日本大震災後の福島第一原発事故では一時、東日本すべてが壊滅するのではと危惧されることがあったという。それから13年。
 現政権は昨年、3.11後の原発政策を転換し、再稼働へと舵を切った。
 そんな折、私たちが原発について考える大切なヒントを与えてくれる映画「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」(日本/92分/小原浩靖・監督)が戻ってくる。
 2024年3月15日(金)、ポレポレ坐(東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ東中野の1階のレストラン)で能登半島地震チャリティ上映される。入場無料(ワンドリンク=500円制)
 午後6時開場、7時上映。予約不要。バリアフリー(日本語字幕つき、音声ガイド対応)。上映後、小原監督のトークがある。
 会場では映画のDVDやサントラCDが販売される。

 原発の問題は賛否が分かれる微妙な問題だと思われている。そして、とかく「玄人」すなわち科学技術の専門家によるものだと思いがちだが、実は「素人」の常識こそが真の理解を生むと映画の前半で静かに主張される。
 原発推進派の「玄人」たちが挙げる科学データの数々を「常識」によって覆していく。専門的データが「素人」にも分かるように解説され、次々に問題が明らかになっていく。
 「これは違うじゃないか!」といった高ぶりや相手をやり込めようという姿勢は微塵も感じさせない冷静さがある。
 さらに、裁判官の職業倫理とは何かを問い、文系の裁判官たちが原発推進派の理系の専門的な主張にいかに絡めとられているのかを明らかにする。 
 また、本来原発の安全を厳正に審査すべき原子力規制員会が実は「国策である原発推進の一端を担う組織」ではないかと問いかける。

太陽光発電に取り組む農家たち
 後半では、大地にしっかりと足をつけて自然と共生している農家たちが、いかに放射能汚染に苦しめられてきたのかを描く。
 そのうえで、苦しんだ経験を踏まえて現在、太陽光発電に取り組んでいる様子が彼らの声とともに現場から報告される。
 原発は地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)の排出を減らす環境に優しい「クリーンエネルギー」であるとの主張がよくなされる。岸田首相が原発を再び稼働させる方針に転じた理由のひとつがこれだ。
 この主張に対しては、原発こそが「一番深刻な環境問題」になりうるとして弁護士の河合弘之は「地球、日本のために闘う」とした。

大飯原発の運転停止命令を下す
 映画は2014年の一つの判決から始まる。
 そして、関西電力大飯原発の運転停止命令を下した樋口英明・福井地裁裁判長は、定年退官を機に日本の全原発に共通する危険性を社会に広める活動を始めた。それは、日本で頻発する地震に原発が耐えられないことを指摘する、誰もが理解できる“樋口理論”として知られるようになる。
 日本中の原発差し止め訴訟の先頭に立つ河合は、“樋口理論”をもって新たな裁判を開始。“逆襲”弁護士・河合と元裁判長・樋口が挑む訴訟の行方は!
 福島では放射能汚染によって廃業した農業者・近藤恵(こんどう・けい)が農地で太陽光発電をするソーラーシェアリングに農業復活の道を見出す。
 近藤は“反骨”の環境学者・飯田哲也(いいだ・てつなり)の協力を得て、東京ドームの面積を超える営農型太陽光発電を始動させる。
 福島で太陽光発電農業を営む人たちは口々に言う「原発をとめるために!」と。脱原発への確かな理論と不屈の魂。

主題歌は上々颱風の白崎映美
 企画は河合弘之・小原浩靖・飯田哲也。製作は河合弘之・小原浩靖。監督・脚本も小原浩靖。音楽は吉野裕司。
 エンドロールとともに流れる主題歌は、山形県酒田市出身の上々颱風の白崎映美(しらさき・えみ)さんが歌う「素速き戦士」。白崎さんは東日本大震災を経てバンド「白崎映美&東北6県ろーるショー!!」などで活躍中。昨年、初のソロアルバム「うた」をリリースした。 

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