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若きディラン描く「名もなき者」
ニューヨークへ出てきた、ミネソタ出身の若きボブ・ディラン。やがてフォーク界の貴公子として注目を集めるようになり、のちにアコースティック・ギターをエレキに持ち替えて侃々諤々の議論を巻き起こすまでを描いた全米で大ヒット中の映画が日本に上陸する。
そんなディランの歩みを辿った映画「名もなき者/A Complete Unknown」は全米で昨年12月に公開された。
本邦でも2025年2月28日(金)に全国ロードショーされる。
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若きディランを演じるティモシー・シャラメはこの作品のために5年かけて、見た目だけでなく全ての歌唱シーンを自身の声で歌った。
シャラメは第82回ゴールデングローブ賞®で主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされている。彼はこの映画にプロデューサーとしても参加。
監督はジェームズ・マンゴールド。
「花はどこへ行った」、「ターン・ターン・ターン」などの作品で知られ、フォーク・リバイバル運動の中心だったフォーク歌手ピート・シーガーらとディランの今や伝説ともなっている交流なども描かれている。
現在、第77回アメリカ監督組合賞にマンゴールド監督、第31回アメリカ映画俳優組合賞(SAG)のキャスト賞、主演男優賞にシャラメ、助演男優賞にエドワード・ノートン、助演女優賞にモニカ・バルバロがノミネートされている。他にノミネートされているのはアメリカ美術監督組合賞(ADG)美術賞(ピリオド)。
昨年12月5日にディラン自身がこの映画についてXへ投稿をしているー「もうすぐ公開される『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』という私についての映画がある。(なんてタイトルだろう!) ティモシー・シャラメが主役として出演する。ティミーは卓越した俳優だから、きっと完璧に信憑性のある私になっているに違いない。より若い私に。あるいは誰か別の私に」。
「映画が基にしているのは、イライジャ・ウォルドが書いた「Dylan Goes Electric」 -2015年に出た本だ。それは、あのニューポート・フォーク・フェスティバルでの大事件に至る1960年代前半の出来事を見事に語り直したものだ。映画を観たあとに本も読んでみてほしい」。
この映画のサウンドトラックも発売される。
ディラン初期の名曲「北国の少⼥」、2004年ローリングストーン誌「歴代最高の500曲」No.1に選出された「ライク・ア・ローリング・ストーン」などが収録されている。
ちなみに映画のタイトル「A Complete Unknown」は「ライク・ア・ローリング・ストーン」の歌詞の1節だ。
1月24日(金)にアナログ盤、2月28日(金)にはCD(23曲収録)が発売される予定だ。
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映画のサントラについて、マンゴールド監督は次のようにコメントしている。「私にとって、この映画の作り方はひとつしかなかった。それは、演じるアーティストたちに魂からなりきるため、滲み出るような才能と野心(と覚悟!)を持ち合わた俳優を起用すること」。
「そして、そのアーティストたちが歌を歌わなければならなかった、あの世界を描き出すため、私たちはそのパワーや美しさ、荘厳さを決して差し替えず、むしろ祝い、称えたんだ」。