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「空間と作品」展

 美術館の展示室に整然と並ぶ美術品。それらは今日誰もが鑑賞出来る公共的なものとなっている。
 しかし、その美術品が生まれた時のことを振り返ると、それは邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るために描かれたりと、それを所有する人との関係によって生み出されたことが分かる。
 また、時を経る間に、何人もの手を渡り、受け継がれたものもある。
 モネ、セザンヌ、藤田嗣治、岸田劉生、琳派による作品や抽象絵画まで、古今東西、様々な分野の作品からなる石橋財団コレクション144点によって、美術品がどのような状況で生まれ、どのように扱われ、受け継いでこられたのか。

 《鳥獣戯画断簡》 平安時代 12世紀 石橋財団アーティゾン美術館
 クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》 1908年頃 石橋財団 アーティゾン美術館
 円空《仏像》 江戸時代 17世紀 石橋財団アーティゾン美術館
酒井抱一・鈴木其一《夏図(十二ヶ月図 の内)》 江戸時代 19世紀 石橋財団アー ティゾン美術館


 その時々の場面を想像し体感出来る「空間と作品」展が2024年10月14日(月・祝)までアーティゾン美術館(東京都中央区京橋1-7-2)で開かれている。
 来場者が自身でイメージを膨らませることが出来るようにーー江戸時代の人たちはこのように襖絵を見ていたのでは、という照明を照明家の豊久将三氏に、自分だったらこんな美術品に囲まれてリビングでくつろぎたい、という夢想空間をインテリアスタイリストの石井佳苗氏の協力も得て、展示空間を演出し、設けている。
 本展では、アーティゾン美術館の前身であるブリヂストン美術館時代から築き上げてきた貴重な学術資料を見ることができる。QRコードを自身のスマホで読み込み、資料にアクセス出来る。会場限定での紹介だ。
 収蔵作品はもちろんのこと、本館で初公開となる作品もお披露目されている。ミニマリズムの画家として知られるロバート・ライマンの大型作品や、イタリアのデザイン界を代表するエットレ・ソットサスの家具に、豊臣秀吉の書翰など、なじみある作品だけでない一面も鑑賞出来る機会である。

アーティゾン美術館外観部分

 開館時間は午前10時から午後6時(毎週金曜日は午後8時まで)。入館は閉館の30分前まで。休館日は月曜日(8月12日、9月16日、9月23日、10月14日は開館)、8月13日、9月17日、9月24日。
 入館料(税込み):日時指定予約制(ウェブ予約受付中)ーウェブ予約チケット1200円、窓口販売チケット1500円、学生無料(要ウェブ予約)。中学生以下はウェブ予約不要。予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケット購入は可能。
 問い合わせは℡050-5541-8600(ハローダイヤル)。


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