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女性アボリジナル作家たち
オーストラリアの先住民族アボリジナル。5万年以上も前からオーストラリアで生活していたとされる。自然を崇拝し、動物と共存してきたアボリジナルだがイギリス人入植者による虐殺や伝染病感染によって人口が減少するとともに、同化政策のあおりも受けてきた。
だが現在、アボリジナル伝統文化の再評価が進んでいる。
そんななか、オーストラリアの女性アボリジナル作家たちの日本初の展覧会が今年6月からアーティゾン美術館(東京都中央区京橋1-7-2)で開かれることになった。計52点の作品をとおして、アボリジナル・アートに脈々と流れる伝統文化の息づかいを感じることができる機会となろう。
また、英植民地時代を経て、どのように脱植民地化を実践しているのか、そしてそれがいかにして創造性と交差し、複層的で多面的な現代のアボリジナル・アートを形作っているのかが考察出来よう。
「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」展が2025年6月24日(火)から9月21日(日)まで開催される。
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この展覧会は、地域独自の文脈で生まれた作品への再考が進む近年の国際的な現代美術の動向とも呼応しオーストラリア先住民によるアボリジナル・アートが改めて注目を集めているなかで開かれる。
2024年に開催された第60回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展で、アボリジナル作家の個展を展示したオーストラリア館が国別参加部門の金獅子賞を受賞したことからも、その世界的な評価と関心の高さがうかがえる。またオーストラリア現代美術では、多数の女性作家が高い評価を得ており、その多くがアボリジナルを出自の背景としている。
彼女たちの作品の特徴はその多様性だろう。制作手法や作品のテーマ、そして用いられる素材の多様性。そして作家たちの地域性の多様さ。
バティック、ジュエリー、編み物、土地神話物語(ドリーミング)を含まない事象的な主題など、それまで芸術作品として受け容れられていなかった創作を、彼女たちは芸術表現に昇華させた。
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また出品作家のなかには、社会問題、環境問題、過去の歴史、失われた文化の復興など、幅広いテーマを扱っている。
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地域性ということでいえば、伝統文化が深く根付くコミュニティ出身作家から、エミリー・カーメ・イングワリィ、マダディンキンアーシー・ジュウォンダ・サリー・ガボリ、ノウォンギーナ・マラウィリィ。コレクティヴとして活動するジャンピ・デザート・ウィーヴァーズの出品もある。
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現在のアボリジナル人口の8割が都市部に住んでいることから、都市部出身もしくは都市部を拠点に活動する作家も見逃せない。
例えば、マリィ・クラーク、ジュリー・ゴフ、イワニ・スケース、ジュディ・ワトソンといった作家たちだ。
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開館時間は午前10時から午後6時(毎週金曜日は午後8時まで)。入館は閉館の30分前まで。休館日は月曜日(ただし、7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日、8月12日、9月16日。
入館料はウェブ予約チケット1800円、窓口販売チケット2000円、学生無料(要ウェブ予約)。日時指定予約制。中学生以下はウェブ予約不要。5月24日(土)よりウェブ予約開始。
この料金で同時開催の展覧会「石橋財団コレクション選 コレクション・ハイライト」も鑑賞できる。
アーティゾン美術館の公式サイトは https://www.artison.museum/
(冒頭の写真の作品:アーティゾン美術館外観)