ゴッホ家のコレクション!
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1880)の家族が受け継いでいたコレクションに焦点を当てた日本初の展覧会「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」が来夏、大阪を皮切りに東京、愛知を巡回開催する。
ゴッホの画業を支えて大部分の作品を保管していた弟テオが兄の死の半年後に生涯を閉じると、テオの妻ヨーが膨大なコレクションを管理することとなる。ヨーは義兄の名声を高まることに人生を捧げ、作品を展覧会に貸し出し、販売し、膨大な手紙を整理して出版した。
その息子フィンセント・ウィレムは、コレクションを散逸させないため、フィンセント・ファン・ゴッホ財団をつくり、美術館の設立に尽力した。
アムステルダムのファン・ゴッホ美術館には画家の約200点の油彩や500点にのぼる素描をはじめ、手紙や関連作品、浮世絵版画などが所蔵されている。そのほとんどは73年の開館時に、同財団が永久貸与したもの。
本展では、ファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、ファン・ゴッホの作品30点以上にくわえ、日本初公開となるファン・ゴッホの手紙4通なども展示し、家族が守り受け継いできたコレクションを紹介する。
パリで自らの表現が時代遅れなことに気づいたゴッホは、1886年の夏、新しい表現を身につけようと35点を超える花の静物画を描き、実験を繰り返した。この《グラジオラスとエゾギクを生けた花瓶》においても効果的な色彩の組み合わせや自由な筆づかいが試みられている。
ゴーガンと暮らした南仏アルルで生まれた作品の一つが《種まく人》。敬愛する画家ミレーが描いた種まく人を自らも描きたいと、試行錯誤を繰り返し、本作の構図にたどり着いた。大胆な色彩の組み合わせだが、秋の夕暮れを表すためにやや落ち着いた色調が用いられている。
ファン・ラッパルトは、画業のごく初期に知り合ったオランダ時代の先輩画家。ゴッホはときに作品のスケッチを描き込み、意見や助言を求めた。《ジャガイモを食べる人々》への手厳しい批評でふたりの友情は終わりを迎えることとなる。
2025年7月5日(土)から8月31日(日)まで大阪市立美術館、同9月12日(金)から12月21日(日)まで東京都美術館、2026年1月3日(土)から3月23日(月)まで愛知県美術館に巡回する予定。
(冒頭の写真の作品は:フィンセント・ファン・ゴッホ《画家としての自画像》1887年12月~1888年2月 油彩 カンヴァス 85.1cmX50cm)