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京都橘高校吹奏楽部便り②

 台湾からの男性2人組がいた。
 話をすると、京都橘高校吹奏楽部の定期演奏会を見るために日本に来たのだという。1,2日目を見たが、最終日のチケットが手に入らない。
 「仕方ないので当日券を求めて並びます」と英語で話した。
 「オレンジ色の悪魔」とは台湾発のニックネームなのだ。
 そう、「橙色悪魔」。オレンジ色のコスチュームの生徒たちが一瞬にしてみんなを虜にしてしまったからだという。
 そして、今回の定期演奏会への祝電が台湾の蔡英文総統から届いた。
 前回の台湾遠征の際、蔡総統は宿泊するホテルに小籠包の差し入れをしてくれる気遣いを見せた。

台湾の蔡英文前前総統からの祝電


 顧問の兼城裕先生によると、2025年1月には3回目となる米ローズ・パレードへの参加が決まったという。
 人気は国際的に広がっている。
 さて、2024年3月23日(土)、京都橘高校吹奏楽部の60年記念定期演奏会の2日目が滋賀県立びわ湖ホールで開かれた。
 コンサートステージに先立ち、兼城先生から挨拶があった。今度のローズ・パレードに参加するのは117期生から123期生までの「コロナの第一世代とこれから入って来る一年生との7世代で行きます。自分たちのパフォーマンスを世界の人たちに見てもらいたい」。
 しかし、昨今の円安や物価高騰で渡航費用の面で断念する人が出ないように「クラウドファンディングで支援をお願いしている」ところだという。
 定刻の午後6時になり、コンサートステージが幕を開けた。

「魔女の宅急便」セレクションを演奏
 
まずは祝典行進曲(作曲:團伊玖磨)だ。これは1959年に皇太子(現在の明仁上皇)の成婚を祝して團が作曲した曲だ。
 続いてパガニーニの主題による狂詩曲(作曲:S.ラフマニノフ)。
 そして、ホープタウンの休日(作曲:S.ライニキー)。これは米バージニア州にある高校の吹奏楽バンドに提供された曲。「西インド諸島の海辺の旅」というサブタイトルがつけられており、旅行先バハマのホープタウンにある珊瑚礁の情景を表現している。
 次は「魔女の宅急便セレクション」(作曲:久石譲)。1989年公開のスタジオジブリの名作「魔女の宅急便」。そのなかの「海の見える街」のメロディは、主人公キキが到着した海辺の街の美しい風景を描写している。
 「傷心のキキ」では感情の揺れを表現、初めて挫折を経験する瞬間を切なく聞かせる。「突風」はキキが飛行中に突風に遭遇するシーンを醸し出す。 そして「旅立ち」では家族との別れが音楽によって心に沁みる。

ピンク・レディー・メドレーでは踊りも
 今日の注目の一つがピンク・レディー・メドレー(作曲:都倉俊一)だ。1976年に「ペッパー警部」で衝撃的なデビューを果たしたミーとケイの女性デュオ「ピンク・レディー」。
 ペッパーとはビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」からとったといわれている。
 翌77年リリースされた「S.O.S.」、同年の「UFO」、ホームランキング・王貞治さんを描いた78年の「サウスポ―」がメドレーで演奏された。
 男女2人ずつが入れ替わってピンク・レディーのそれぞれの曲の振り付けを完コピで踊った。彼ら彼女らはまだ生まれていなかっただろうと思ったが、おそらく親がその世代なのかもしれない。
 拍手が自然と沸き起こり、演奏が終わると歓声が上がった。


 彼女ら彼らは一生懸命で健気だ。
 ピュアですれたところが見受けられない。
 ここで商品が京都橘高校スペシャルクッキーのお楽しみ抽選会。
 抽選が終わると「翼をください~バンドと合唱のための~」(作曲:村井邦彦)で、女性2人が前に出てボーカルを披露した。
 ゆっくりと始まり、アップテンポに変わった。
 これは伝説的なグループ「赤い鳥」が歌い、その後多くの人々に歌い継がれているスタンダード。学校の合唱曲の定番でもある。
 ステージ上のみならず客席の通路にも生徒たちが並び、歌を披露した。

マーチングステージはソウルの名曲オンパレード
 ここで休憩を挟んで、マーチング・ステージとなった。
 まず定番の「Winter Games」(作曲:D.フォスター)。続いて松田聖子の1980年のヒット曲「青い珊瑚礁」(作曲:小田裕一郎)。
 そして映画「ブルースブラザーズ」から「I can't turn you loose」(作曲:O.レディング)。多くのカバーを生んだ「サマータイム」(作曲:G.ガーシュイン)はアンニュイなトランペットのソロで始まった。
 そしてソウル・グループ「Earth Wind & Fire(EW&F)の「September」(作曲:M.ホワイト/A.メンケン/A.ウィリス)、ソウルの女王アレサ・フランクリンの「Think」(A.フランクリン/T.ホワイト)と続いた。
 「Think」では生徒たちのバラエティに富んだステップが堪能出来た。


 さらにクール&ギャングのヒット曲「Celebration」(作曲:R.ベル他)と、フランク・シナトラの歌唱で知られ、日本では親父たちのカラオケの定番でもある「My Way」(作曲:C.フランソワ/J.ルヴォー)。
 ここで生徒からの挨拶があった。今年のテーマは「Reach the Peak」で「常に高みを目指して活動してきた」という。「コロナの制限が取り払われて、多くの人とつながりを持つことが出来るようになった」と述べた。
 ここからラスト・スパートの3曲。まずは「Runaway Baby」(作曲:R.マーズ/P.ローレンス/A.レヴァイン/B.ブラウン)。
 そして「80日間世界一周」(作曲:V.ヤング)。ゆったりとした演奏だ。そして締めは定番の「Sing Sing Sing」(作曲:L.プリマ)。スローな前曲とアップテンポなこの曲とのコントラストが鮮やかだった。
 こうして2日目は幕を下ろした。
(冒頭の写真:中華文化総会 高雄市 日台交流協会による)

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