反貧困ネット活動報告㊥
反貧困ネットワーク活動報告会。
次のテーマは生活に困窮している女性への支援についてで、白樫晴子・生活相談員(保健師/精神保健福祉士)から説明があった。
まず第一に親から虐待を受けて逃げている女性。
そういう女性たちは「なかなか自分が置かれている状況を異常とは認識できない。しかし、調べてみると酷い虐待があったことが分かるのです」。
「自分の育った家庭しか知らないのでそれが異常だとは思わないのです。そして、彼女たちの親や兄弟に居場所を知られないようにして私たちは支援を行っています。毎日のように親や兄弟に見つかってしまうのではないかとおびえて暮らしています」と白樫さんは話す。
第二に貧困から風俗で働く女性たち。
白樫さんは例としてまずAさんの話をした。「風俗から逃げてきたのですが、自分の感情を正確に表現できないくらい深い精神的傷を負っていました」。そしてBさんは「精神的にきつくなって動けなくなりSOSを出してきたのです。メールのやり取りをしてやっと逃げる決心をしました」。
2人とも20代だという。
そして最後にロスジェネ世代を親に持つ子ども世代。
就職氷河期時代のロストジェネレーションを親に持つ20代の若者たちのことで、「親たちに余裕がなく虐待が生じる背景になっている」。
「反貧困ネットワークにSOSを出してくる人は闇バイトのサイトを見ている人が多い。「一歩間違えたらそっちに行っていた」と思っている人がいます。政府は自己責任とか家庭の責任とか言って丸投げしており、根幹にある問題に取り組もうとしていない」と白樫さんは厳しく指摘した。
仮放免高校生奨学金プロジェクト
次に事務局から加藤美和さんが「仮放免高校生奨学金プロジェクトチーム」報告をした。(冒頭の写真の左が加藤さん)
同プロジェクトチームは2023年1月にスタートした。
入管が把握しているだけでも、未成年で在留資格がない外国人はおよそ300人いるという(2019年)。
在留資格がないと県をまたいでの移動も出来ないのだという。
そして教育の問題だ。
加藤さんは「高校に入る前までは学校に行くことが出来ますが、高校進学という話になると就学支援金制度の対象外となっていまうのです。そうなると学費が払えなくなり学業をあきらめてしまう。そういう人たちを支援するためこれまで40名の高校生に対し30名の大学生チューターが伴走し、月1万円を奨学金として渡しています」と説明した。
「親が入管に拘束されて精神的トラウマの経験をしています。そういう子たちには一人じゃないんだよと伝えることが大切です」。
加藤さんは課題として4つ挙げたー①慢性的な経済的困窮②トラウマ、恐怖③存在意義の否定④進学の壁。
一つの解決策として今年6月に「豆の木プロジェクト」を立ち上げた。これは精神的・物理的な居場所を作るということだった。
ここで大学生チューターの勝股寧菜さん(冒頭の写真の右)から「進路の壁」についての話があった。
在留資格がない外国籍の子どもたちが直面している問題に関してだ。
まず、大学からの受験申込の受理拒否と入学拒否。「それは主に日本で育ち、日本の小学校、中学校、高校に通い、学力も成績も足りているうえに意欲がある子どもたちも在留資格がないだけでなのです」。
将来の選択肢が在留資格制度によって狭めらると勝股さんは話す。
次は経済的問題で、親が在留資格がなく働けないので高校生たちを苦しめているという。大学進学の費用が賄えないのだ。
法務大臣裁量で日本で生まれた子どもについては在留資格が付与されたが、「両親には在留資格が下りずに、子どもたちが働けない親を支えるために働くケースがあるのです」。
続いて加藤さんから「おとなりカフェ」についての報告があった。
毎週水曜日に反貧困ネットワークで難民の人たちがランチを作っている。メニューはいろいろな国の料理だ。最近ではお弁当も作る。
次に居場所交流事業「Champora(ちゃんぽら)」。
平田聖子・生活相談員(精神保健福祉士/社会福祉士)によると、毎週水曜日の午後2時から5時まで:新宿区西早稲田2-4-7の東京DEWI1階多目的室:で開かれる交流スペースだ。
「来るもの拒まず、去る者追わないということで活動しています。それぞれの人が好きな場所でくつろいでいます」と利用者は語る。
そして計10人の利用者がそれぞれの思いを語った。
(続く)