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回復に足踏みの外食産業
コロナ禍との比較で緩やかながらも回復してきた外食市場だが、2024年11月に縮小傾向を再び、強めたことが、リクルートが運営するホットペッパーグルメ外食総研が実施した調査で明らかになった。
ただ、同総研の稲垣昌宏上席研究員は「年単位ではおおむね順調な回復をみせている」という。
2019年の同月比でみた外食市場規模(首都圏、関西圏、東海圏)をみると、2024年7月に16.2%減、同8月に13.1%減、同9月に9.1%減、同10月に6.1%減と縮小幅を縮めてきたが、同11月に再び、11.5%と減少幅を拡大させた。
同総研では市場規模でコロナ禍前比が後退したことは頻繁にあったので、11月実績だけで急に減少傾向に転じたとは見ていないが、同時に「このところ消費者の可処分所得の伸びが物価の高騰に追いつかない状況が続いていると思われ、消費者の節約志向が高まっているのは事実」だと稲垣上席研究員は話している。
同11月の市場規模は3004憶円だった。
のべ外食回数は対2019年比で22.5%減の1億265万回。
外食単価上昇は2つの要因の相乗効果
一方、外食単価は14.2%増の2927円だった。
外食単価の上昇は2つの要因の相乗効果であると同総研は分析。
稲垣上席研究員によると、原料高、光熱費高、人件費高などにより店側が値段を上げざるをえないことがまず一つ。
そしてもう一つは消費者側が外食をする機会には、よりおいしいものや自分では作れないものを食べたいというニーズが強まって結果として単価の高いものを求めることにつながっている点だという。
アジアン料理、ファストフードなどがコロナ禍前を上回る市場規模であることも分かった。前者は24.3%増、後者は15.1%増だった。
アジアン料理好調について稲垣上席研究員は「もともと若い女性が多く利用するジャンルの業態だったのですが、このところの激辛ブームなどもあってか、男性の利用者層がその後急拡大していることがわかっています」。
「こういった消費者の嗜好に応じて店舗数もかなり増えていると考えられ、その相乗効果で市場が拡大していると思われます」。
「また、アジアからの技能研修生受け入れが進んできたーー最多はベトナム人ーーことも、アジアン料理店の経営には追い風であると思います」。
事前調査と本調査を行った。本調査は2024年12月2日(月)から同11日(水)まで行い、有効回答数は7453件。
この調査での「外食」は、夕方以降の食事について、店で食事をした場合を対象としている。飲酒のみ、喫茶のみの場合も含まれる。また、店にはコンビニやスーパーマーケットのイートインスペースでの飲食も含まれる。
首都圏は:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県。
関西圏は:大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県。
東海圏は:愛知県、岐阜県と三重県。