5.8原子力規制委会見
東京電力福島第一原発での作業中に電源ケーブルが謝って切断され作業員が負傷した先月の事故を受け、原子力規制委員会の山中伸介委員長は2024年5月8日の定例会見で東電の「リスク管理に甘さがあった」と述べた。
電源ケーブル切断以前にも度々同原発で起きたトラブルを挙げて、山中委員長は「いづれにしても東京電力のリスク管理の甘さという点で共通するところがあるという認識で、この点について東京電力に原因究明をしてもらわないといけないし、今回の施設だけでなく福島第一全体の作業についてリスク管理の見直しをしてもらいたいと思っている」と話した。
昨年10月、福島第一原発ではいわゆるALPS処理水(放射能汚染水からトリチウムを減少させるべく処理した水)による作業員の汚染が起きた。そして処理水の漏えい、水蒸気の大量発生、火災感知器の誤作動などが続いた。
福島第一原発事故から13年、「施設でも長いものでは10数年経っているので施設についてのリスク評価見直しをやってもらわないといけない時期に来ているのではないかという考えがあります」。
作業員は感電していたのではないか?
今年4月24日、福島第一原発構内の大型機器点検建屋西側で、コンクリート舗装面の剥がし作業をしていた作業員が作業によってケーブルを損傷したこと所内電源A系が停止し、免震重要棟の電源が失われた。
また、それに伴いALPS処理水の放出も自動停止した。
東電によると「発電所構内の医療室で医師の診察を受け、緊急搬送の必要があると診断されたことから、救急車を要請し、医療機関へ搬送」。
診断の結果「右頬部・右前腕2度熱傷」と診断されて「入院はせず帰宅」したと東電は同日に発表していた。
この作業員の負傷について質問があったー「ドリリングマシンを使った作業中に6900ボルトの電線に接触して作業員は右前腕と右頬に2度の火傷を負ったというが、この火傷は表皮にとどまらずに組織までいっているレベルで、これは感電だったのではないか」と。
山中委員長は「作業員が作業中に負傷するということはあってはならないことだと理解しています。東京電力の説明では熱傷だということですが、どういうことで生じたのか今後報告を受けて判断したい」と答えた。
今回の作業員の負傷を起こした事故に関して山中委員長は、特に見ていくべき点は次の2点だとしたー①現場作業員による電源の切断②電源系統の構成の問題。2点目については、本来はA系統が働かなければB系統が立ち上がり免震重要棟の電圧を回復させるところだったのに、実際に立ち上がったのは想定されないガスタービンだったという問題である。