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特別展「大覚寺」
風光明媚な京都嵐山にある真言宗大覚寺派の総本山が大覚寺だ。空海を宗祖とし、もともとは平安時代の嵯峨天皇の離宮から始まり、嵯峨天皇亡きあと、娘の正子の願いによりお寺になった。
お寺になってから1150年。離宮時代を含めると1200年を超える歴史がある大覚寺。そのお宝がやって来る。
2025年1月21日(火)から3月16日(日)まで開創1150年記 特別展「 旧嵯峨御所 大覚寺ー百花繚乱 御所ゆかりの絵画ー」が東京国立博物館平成館にて開催される。
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開幕前日に開かれた報道内覧会に参加した。
「大覚寺には要が2つあります」と東京国立博物館・学芸企画部・博物館教育課の金井裕子・教育講座室長はいう。
1つは五大明王でもう1つは般若心経。
般若心経については60年に一度天皇の許可があって初めて開けられるもので、最近では2013年に開けられたばかりだという。
五大明王に話を戻すと、「唐(当時の中国)に憧れていた嵯峨天皇が空海にその話を聞いて、五大明王像を設置したといわれています。現存しているのは平安時代のものです」と金井室長。
増田政史・同館企画課・特別展室・研究員は明王というのは密教特有の仏で 「強い力で仏教の敵を打ち負かして人々の不幸を取り払うといいます。明王の強さを表す姿として手や足が複数あったり、顔の左右に別の顔があったりします」と増田研究員は説明する。
明王は大覚寺のご本尊であり、1176年から77年にかけて仏師の明円(みょうえん)が作った。増田研究員は「当時、沢山作りましたが、現在確認されているものは大覚寺の五大明王のみ。五体揃って当時のまま残っているのも非常に稀なことです」と話す。
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優美さと力強さの両方が見られ、その二つが高い次元で調和している作風が特徴的だと増田研究員は説明した。
五大明王像は重要文化財。
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今展の大きな見どころのもう一つは重要文化財〈牡丹図〉だ。
総長およそ22メートル。
徳川秀忠の娘で後水尾(ごみずのお)天皇に入内(じゅだい)した和子=まさこ(東福門院)の女御御所を移築したものと伝えられる宸殿の「牡丹の間」の東・北・西面を飾る襖絵。狩野山楽の代表作。
全18面が一挙に公開されるのは寺外では初めてとなる。
金井室長は「風に揺れるような表現があったりしますが、どちらかといえばデザイン的配置が見て取れるバランスが取れた画面だと思います。ぼたんの花って本当は正面を向いているわけではないけれども、それをうまく配置して調和がとれた画面を創り出している」という。
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もう一つの見どころは「源氏の兄弟刀」。この2口は重要文化財。
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「源氏の歴代の当主に引き継がれてきました。その時々の所有者を守り、勝利に導くと伝えられています。平安時代中期(10世紀頃)、源氏の基礎を作った源光長の天下守護の刀剣として出来たものです」と同館学芸企画部企画課の佐藤寛介・特別展室長はいう。
源光長は罪人の遺体で試し切りをしたところ、首から膝まで切り落とすことが出来たという。そこから「膝丸」の名が生まれた。切れ味が凄かったので髭まで切ってしまったということから「髭切」。
そして時代ごとに合った天下守護の役割を果たしてきたのだという。
佐藤室長は「都(みやこ)に跋扈するもののけを退治したといわれています。クモの化け物を切ったり、鬼を切ったりしたといいます。又源平合戦での勝利は膝丸の力によるものだといわれています」と話す。
「この2口の刀剣はいったん別れ離れになりましたが、源頼朝のもとで再び一緒になりました。この刀に宿る人智を超えた力が源氏を最盛期に導いたといいます」と佐藤室長は付け加えた。
この源氏の兄弟刀が2口そろって東京で公開されるのは初めてのこと。
その他にも見逃せない作品が多い。
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開館時間は午前9時半から午後5時(入館は閉館の30分前まで)。休館日は月曜日(ただし、2月10日、24日は開館)、2月25日(火)。
会期中、一部作品の展示替えを行う。
観覧料は一般2100円、大学生1300円、高校生900円。
問い合わせは℡050-5541-8600(ハローダイヤル)まで。展覧会公式サイトは https://tsumugu.yomiuri.co.jp/daikakuji2025/