映画「Floating Holidays」
若い感性が感じられるものの、熱狂といったものはなく、どこかしら冷めているが、さりげないユーモアがあり、COOLで不思議な感触を持った映画だと思った。 増田有美(ますだ・ゆみ)監督、ロック・フォトグラファーほりたよしか撮影による映画『Floating Holidays』だ。
この作品(104分:カラー)のプレミアム試写会が2023年7月23日に新橋のTokyo Cine Center(TCC試写室:東京都中央区銀座8丁目3番先西土橋ビル 102、103)で行われたのを鑑賞してきた。
東京の会社で働くみか(小澤真利奈)、調子がおかしいとして医者の診断を受けるよう促される。診断は適応障害。不眠や小さなミスの繰り返しがあったので、しばらく休養するように言い渡され、叔母のいる街に行く。
この「休息」からタイトルの「Floating Holidays」が取られている。
そして、何年も会っていなかった弟まーちゃん(武田航平)がみかのもとに突然担ぎ込まれてきて、不思議な姉弟の生活が始まる。ぎくしゃくしながらもさすがは血を分けているだけにどことなく通じている風。
観ていて思ったのはまず、風景の描き方がうまく、時間によって変わる色合い、グラデーションの違いをうまく捉えていることだった。それに、音楽を多用してはおらず時々挟まる程度だが、使い方がうまいと思った。
役者の演技はやや素人っぽいが、それがかえって新鮮さを感じさせている気がした。全体にCOOLな雰囲気が漂い、声高な主張や説教もない。
この作品は世界中で37の賞を受賞しているという。試写会で上映されたのはカンヌバージョン(英語字幕)。英語字幕はあれでいいのかな(笑)。きっとネイティブがチェックしているんだろう。
セリフの間合いとかやや長い時間のショットとかハリウッド流とは違い、どちらかといえば小津安二郎が受け入れられているヨーロッパ・テイストなのかなと思ったりしたー小生は映画には素人ながら・・・
次にお目見えする予定の2023年の作品『Already Over』(約85分:カラー)が楽しみだ。これも増田監督、撮影ほりたのコンビによる作品だ。