ビートルズのチカラ!足利へ
2011年に東日本大震災:福島第一原発事故をきっかけに発足した「ビートルズのチカラ!」。ビートルズのトリビュートライブの演奏など音楽の力をもって被災地・被災者支援を続けている。
そのビートルズのチカラ!が2024年4月27日(土)に栃木県足利市にやって来る。ライブハウス「Club South BBC」(足利市永楽町7-11)で午後2時から午後8時まで開催され、バンドが9組演奏する予定だ。
入場料2500円。ワンドリンク付き。
今回は能登半島地震からの復興を願い、収益金を支援する。
今回は、日本でも代表的な「ポール・マッカートニー二人」ーー「ナガヌマッカートニー」こと永沼忠明さんとパウロ鈴木さんだ。
問い合わせは090-1773-7038(Genky 松浦)まで。
3.11からわずか4カ月後に、東北地方のビートルズを演奏するアマチュアバンドによる震災復興支援プロジェクトであるビートルズノチカラ!がスタートした。出演者・スタッフが手弁当で音楽イベントを行い、収益をすべて義援金として被災地に送ることを始めた。
きっかけは、「フォーセイル」という福島の地元バンドが震災の翌月にライブを迷いながらも敢行したところ、大盛況だったことがあった。「みんな疲れていたのでしょう。“Let it be”や“The long and winding road”といったビートルズ・ナンバーを演奏すると、泣き出してしまう人がいたのです」とバンドの一員で、のちに「ビートルズのチカラ!」代表となったGenky 松浦さんは当時を振り返って語る。
そこでゲンキー松浦さんたちのように活動している東北のビートルズバンド7組に声を掛けたところ、みな震災復興支援プロジェクトのアイデアに賛同してくれた。ゲンキー松浦さん自身は3.11の時、東京にいた。翌日、14時間かけて車で福島市の自宅マンションに帰宅したが、自宅は半壊しており、引っ越しを余儀なくされたのだ。
被災者でもあるゲンキー松浦さんが行動を起こすのは必然でもあった。同年7月16日、第1回「ビートルズのチカラ!」が仙台のライブハウス「ペニーレーン」で行われた。「親戚や友だちを亡くした人、家が流された人など、出演者やお客様も全員が被災者でした。だからこそ、私たちが“発信”をする意味があると思ったのです」。
活動基本方針は次の通り――。
「我々はビートルズが持つ音のチカラ、詩のチカラ、ビートルズという響きそのものが持つ力を信じ、ツアーライブ等の活動という形で、音に変え、言葉に変え、空気に変え、天災人災を問わず災害被災地の復興支援活動を継続的に行うことを信条とする。本活動を通して、僅かながらでも被災地域の応援をし、被災された方々に希望と勇気を与え、また、それらの災害を復興経過とともに後世に伝えることで、国民の防災意識等が高まるように、ビートルズのチカラ!の活動の意義を広く発信するものとする」
第1回目のイベントが仙台のライブハウス「ペニーレーン」で行われた。「親戚や友だちを亡くした人、家が流された人など、出演者やお客様も全員が被災者でした。だからこそ私たちが“発信”する意味があると思ったのです」。松浦さんは「単なるバンド大会ということではなく、震災のこと、被災体験、被災地の現状などの話を必ずすることにしています」という。
東日本大震災後も、各地で災害が相次いでいる。
2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨、2018年に広島など西日本を中心に発生した豪雨、2019年の台風19号、2020年に熊本を中心に発生した集中豪雨など。
そして今回の能登半島地震である。
ポールがFukushimaのために歌った!
松浦さんらは「ビートルズのチカラ!」のおかげで、あこがれのポール・マッカートニーに会うことも出来た。
2013年11月18日、11年ぶりに来日したポールは、東京ドームで、福島、浪江、いわき、釜石などの被災者およそ10人と面会してくれたのだ。松浦さんが復興支援活動のことを説明し、「東北の人たちはあなたの歌を必要としています。東北に演奏に来てください」と話すと、ポールは「OK、わかった。約束するよ」と真剣な眼差しで答えてくれたという。
その晩のコンサートで「イエスタデイ」を歌う前にポールは「Fukushimaのために歌います」と言ってくれた。
「私たち東北人の心とポールの心が通じた瞬間です。私は涙が止まりませんでした」と松浦さんは感慨深げに振り返っている。