金子みすゞ展覧会
「100年の時を越えて 展覧会 金子みすゞの詩(うた)」が2023年5月24日(水)に開幕する。今年は生誕120年、はじめて投稿した作品が一斉に掲載されてから100年。その節目の年に開かれる。
会場は松屋銀座8階イベントスクエア(東京都中央区銀座3-6-1)。
金子みすゞは「若き童謡詩人の中の巨人」と称賛されながらも、26歳の若さで世を去ると、その存在は長らく忘れ去られていた。しかし、みすゞの童謡に心魅かれた人々の思いは途切れることがなかった。
時を経て、矢崎節夫氏が3冊の遺稿手帳を発見し、1983年の『金子みすゞ全集』発行に結実する。童謡という、誰にでもわかる言葉でうたわれたみすゞの作品は、彼女が生きた大正時代から100年の時を経てもなお輝き、今の私たちを魅了し続けている。
展覧会は全4章から成る。
第1章「童謡詩人金子みすゞの誕生」ー本名は金子テル。20歳の時、「金子みすゞ」というペンネームで童謡を書き始めた。投稿した最初の作品が『童謡』、『婦人倶楽部』、『婦人画報』、『金の星』4誌の1923年9月号に一斉に選ばれて掲載された。大正デモクラシーを背景とした童謡運動隆盛のなか、鮮烈なデビューから読者の心をつかみ、投稿詩人たちのあこがれの星になっていく。
第2章「金子みすゞを探して」ー金子みすゞは私生活が困難に直面するなか、自死してしまう。享年28。彼女がこの世を去ったことで、一度は忘れ去られたように思えたその作品が、どのように読み継がれ、今日多くの作品が知られるようになったのか。512篇もの作品が世に出るようになった経緯を様々な資料によって辿っていく。
第3章「100年の時を越えて」ー遺稿手帳に書かれたみすゞ直筆の詩をパネル化。手帳に残された、みすゞの筆跡でおよそ60篇の詩を読むことが出来る。詩の世界を立体的に表現したアート作品も鑑賞出来る。
第4章「広がる「金子みすゞの詩」」ー様々な表現で描かれた絵本の原画約100点や、現在14か国語に翻訳されている海外での出版物の紹介など、みすゞの詩が100年の時を経てもなお、読み継がれている魅力を紹介している。
金子みすゞはあこがれだった西條八十に激賞された。代表作は「私と小鳥と鈴と」や「大漁」など。
「私と小鳥と鈴と」
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
「大漁」
金子みすゞが育った山口県仙崎(せんざき)につながる作品といえる。仙崎は古くから捕鯨で栄えた漁師町だ。鯨の供養のために法会をする地元の習わしに感銘し「鯨法会」という作品も残している。
同展覧会は2023年5月24日(水)から29日(月)まで開かれる。開場時間は午前10時から午後8時まで。ただし、5月28日(日)は午後7時30分、最終日は午後5時閉場。入場は閉場の30分前まで。
入場料は一般1200円、高校生1000円、小中学生600円。
東京を皮切りに2年間巡回の予定。