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「喜劇 急行列車」を観た

 「男はつらいよ」シリーズ、すなわち寅さん映画の大ファンである。そこで渥美清さんが主演する昔の映画も観たりしている。
 その中の一本が「喜劇 急行列車」(昭和42年)だ。
 寅さん映画がスタートしたのが昭和41年だからほぼその頃の作品。
 瀬川昌治監督が喜劇作家として開花した記念すべき一本。
 笑いあり、涙あり、ちょっとだけお色気も。楽しい映画だった。



 特急列車の車掌・青木吾一(渥美清)は佐世保長崎行きの特急「さくら号」に東京駅で乗車するところから話は始まる。
 車内の面々はさまざまだ。新婚夫婦。スリの男・・・
 食堂車のウェイトレス役に若き大原麗子。
 吾一の仲間に関敬六演じる乗務員・・・
 ホステスのグループが酒を飲んでの宴会。
 だが朝になって、パンツやブラジャー、現金がないことに気づく・・・

「マドンナ」は佐久間良子
 車中で吾一は昔憧れていた鞠子(佐久間良子)と偶然出会う。
 動揺した吾一は車内放送用マイクがオンになっているのに気がつかず、鞠子への思いをせつせつと語る。もちろん乗客に筒抜けだ。
 離婚を考えているという鞠子。
 吾一と鞠子は長崎でデートをする。
 帰宅した吾一。だが、妻に不倫がばれてしまう。
 鞠子の手紙が見つかってしまったのだ。鹿児島で会う約束をしていた。
 次の仕事の列車に妻が乗る。不倫を突き詰めようとしてだ。

 一方、心臓を病んでいて手術を控えている鉄道大好き少年と吾一との交友は涙を誘う。いろいろと少年に親切にする吾一。
 車内で子どもが生まれそうな女性がいて、乗車している人たちが産湯を用意したり、てんやわんやの末、無事に男の子を産む。
 手伝いを買って出て赤ん坊を取り上げた吾一の妻。
 吾一は妻を見直す。「さすがお母ちゃんだよ」。
 その前に妻は吾一が病気の少年に優しく接するのを見ていた。

 いろいろな人たちを乗せて走る寝台列車。
 途中、車窓に見える景色がアクセントだ。長崎の平和公園、グラバー庭、宮崎の日南海岸などの観光地も織り込まれている。

 吾一の妻と鞠子が対面する。
 「ずいぶん若いおばあさんね」と妻は嫌味をいう。
 吾一は鞠子をおばあさんだと嘘をついていたのがばれたのだ。
 そこで鞠子の夫が迎えに来ているといって夫が現れる。
 寅さん的にいえば「失恋」なのだろう。


 一方、大原麗子演じる食堂車のウェイトレスと吾一の若い同僚が結婚を決めたと吾一が妻と一緒にいるところに報告にくる。

 面白いのは吾一が子どもたちに電車にちなんだ名前をつけていることだ。「特急」「さくら」「つばめ」「ふじ」。
 最後は吾一と妻はよりを戻したようだ。
 フィナーレは鹿児島の桜島のアップだった。
 

 
 
 

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