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ビートルズの旅(インド編)⑬

 「藤本国彦と行くビートルズの旅(インド編)」は2024年3月16日(土)、4日目を迎えている。
 その日のビートルズ絡みのハイライトは、ジョージ・ハリスンにシタールを売ったというデリーの老舗楽器店「Rikhi Ram's Music hand crafting musical instruments(リキー・ラムズ)」を訪れることだった。

 楽器店リキー・ラムズの外観
リキー・ラムズの店内にディスプレイされているシタールなど


 1966年7月の第一週、ビートルズは日本公演そしていわくつきのマニラのコンサートを終えて帰国する途中でデリーに立ち寄っている。
 わずか24時間の滞在だった。
 「ジョージはロンドンの土産物屋で買ったシタールを使っていましたが、ちゃんとしたシタールを買いたがっていたのです」とアショイ・ボース著「インドとビートルズ」(青土社)の訳を手がけた朝日順子さんはいう。
 同書によると、当時ジョージは会って間もなかったシタール奏者ラヴィ・シャンカールから「まともなシタールが必要で、それはインドでしか入手できないこと」を言われていたそうだ。
 その楽器店はビートルズが滞在しているホテルーー当時デリーで唯一の高級ホテルだったオベロイ・ホテルーーにシタールなどインド楽器を売りに行った。その時の写真が同店には飾られている。

リキー・ラムズに飾られている写真

 店主の息子バンディット・ビシャン・ダスがビートルズに接客したという。もともとこの店を推薦したのはラヴィ・シャンカールだった。
 ツアーのメンバーで音楽ライターでもある朝日順子さんは、リキー・ラムズの女性と話をした。その店員の夫は現在の店のオーナーで、義理の父親がビートルズにシタールなどの商談をしたのだという。
 朝日さんは確認したという。「その後、ジョージは一人で店に来ることがあったのか?」。答えはノー。「手紙が来て、そういうものを保管しているのか?」。これまた答えはノーだったという。

楽器店リキー・ラムズのある通り


 ラヴィ・シャンカールはこの楽器店と強いつながりがあった。彼はシタールを製作してもらっていたのである。
 朝日さんによると、彼女が話を聞いた人物はラヴィ・シャンカールの娘のシタール奏者アヌーシュカとは「家族ぐるみのつきあい」だという。
 アヌーシュカは2002年、ジョージが亡くなった一年後にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開かれた追悼の「Concert for George」で見事なシタール演奏を披露したことでも知られる。
 さて、リキー・ラムズを出たビートルズ・ツアー一行は買い物へ。
 筆者はその際に街中でチャイを飲んだ。
 店員が茶葉をミルクで煮出して砂糖を入れたものを漉して小さめの紙カップで提供してくれた。20インドルピー(約40円)でお釣りが来た。

  

 買い物を終えて一行は夕食へ。訪れたのはアンサール・プラザ・モールにある「Kofuku(幸福)」という名の日本料理店だった。
 弁当が出た。

 

(続く)

 

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