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福島みずほ入管法を斬る!

 さきほど閉幕した国会で出入国管理及び難民認定法(入管法)改正案が強行採決の末に採択された。多くの問題が指摘された法案だったが、社会民主党所属の福島みずほ参議院議員は希望を捨てていない。
 「出入国管理法は入管の裁量の幅がすごく広いうえに、ほとんどの人が知らないような制度を作って、時間をかけて骨抜きにされてきた。しかし、今回の改正の議論でそれが少しでも明らかになったことはよかった」と参院法務委員会のメンバーである福島さんは語り「希望は若者たちだ」と続けた。
 「2年前に1回政府の提出法案が廃案になった時、若い人たちが国会前や議員会館前に集まりました。高校生や大学生がスピーチをするのを聞いて私は感動したのです。外国人の人権問題なのではなく自分の人権と地続きの問題なのだと語っていたことはまさに希望だと思いました」。
 「実は、日本ではすでに目の前に外国の人たちがいて、私たちと一緒に暮らしているのです。そういう目の前の彼ら彼女らがもし強制送還されたらどうなるのかというリアリティもあるのです」。
 「国会はこれを外国人の命だと思って紙切れのように扱えば、私たちの命も紙切れのように扱われることになるのです」と福島さんは2023年6月27日(火)に「スペースたんぽぽ」(東京都千代田区神田三崎町3-1-1高橋セーフビル1F)での講演会で力説した。

 2021年、政府によって入管法の改正案が国会に提出された。当時、スリランカ人のウィシュマさん(33歳)が名古屋入管で死亡する事件が起き、日本の外国人政策における人権無視の実態と相まって反対の世論が大きく盛り上がり廃案となった経緯がある。
 しかし、政府は再びほぼ同じ内容の法案を提出してきた。2022年秋、国連人権規約委員会は入管の問題を是正すべきだと指摘する報告書を出した。それに対して入管は「検討します」と答えていたにもかかわらずだ。
 「ウィシュマさんの事件があったのだから、入管法は抜本的に変えるべきじゃないですか。政治の力不足でした」と福島さん。
 福島さんは日本の難民認定制度は機能していないという。難民認定率は極めて低い0.7%にとどまっている。「日本は難民鎖国だということです」と福島さんは嘆く。「日本政府は親トルコなのでクルド人を難民認定しにくいなど非常に政治的なところがあります」。
 福島さんは次のような説明もした。難民認定の第一次審査は難民調査官という入管の職員が行い、第二次審査、不服申し立ては難民審査参与員が行っている。審査参与員は111人おり、3人一組で評議。常設班と臨時班があって、臨時班は基本的に書面審理だが13人で行っていた。
 「1年間で1000件見ます。つまり、一件当たり4分から6分で見ている計算になります。柳瀬房子参与員は1年半で500件の対面調査をした計算ですが、齋藤健法務大臣は記者会見でそれは「可能」だと答えたものの、あとから「不可能」だった、言い間違えたと訂正しました」(福島)。
 福島さんは力を込める。「月に2回という勤務実態からして不可能です」。さらに「「難民認定をしたいが難民申請をしている人のなかに難民はほとんどいない」という柳瀬さんの発言を政府は立法の根拠としてきましたが、この立法事実すなわち根拠が破綻したのです」。
 難民認定制度がこのように機能していないなかで、2回難民申請が認められなければ3回目の申請中でも送還出来るとしたのが改正法である。福島さんによると、3回目の難民申請で難民と認められたのは2022年で3人、そして裁判で難民認定されたのはコンゴ人、カメルーン人、ウガンダ人、クルド人、ミャンマー人などだという。

 さらに問題点として「司法的なチェックなしに収容されてしまい、収容期限もはっきりしないこと」を福島さんは挙げた。仮放免されたとしても「働けない、健康保険証がない、県境を越えるには許可が必要」であって、そのうえ「いつ再収容されるかわからない」。
 今回の法改正は本来難民認定されるべき人までも本国で虐待にあうかもしれないのに強制的に送還してしまう、つまり「死刑執行のボタンを押すようなもの」だと福島さんは強い口調で非難した。
 今回国会を通った入管法改正案は1年後に施行される。「廃止法案を出したい。施行前ならは「何々を廃止する」という一行だけでいいのです。これが施行後になると複雑になってしまうので」と福島さん。
 「まっとうな難民認定制度を作ること、まっとうな入管制度を作ること、それを本当にやっていきたいと思っています。外国人だからとか日本人だからということでなく命を守っていく必要があります」。
 


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