
シガー・ロス東京公演
コンサートの合間の休憩時間にロビーで客の一人が言っていた「Show is beautiful」と。そう、音と光が美しいライブだった。
オーケストラによる流麗なサウンドと幻想的なボーカルに加え、赤や青に基調が変わるステージの光の効果が見事だった。
これはアンビエント音楽あるいは環境音楽というのだろうか。
心地よいサウンドにリラックス出来る。そしていつの間にか睡魔に襲われそうになっていることにも気づく。身を委ねたくなるような音世界だ。
アイスランドのバンド「シガー・ロス」とオーケストラの共演コンサートが2025年2月16日(日)に東京ガーデンシアターで開かれた。

日本人にとってアイスランドというのはなじみが薄い国だ。
北ヨーロッパの北大西洋に位置し、面積は日本の北海道と四国を合わせた程度。フィヨルドという複雑な地形の湾が多く、また火山活動も活発。
私はたまたまアイスランドのことを少しは知っていた。
というのも故ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻の光による「平和モニュメント」が首都レイキャビックにあるからだ。
地上から光を空に向けて放って、それが「光の柱」のようになり、それは「イマジン・ピース・タワー」と言われている。毎年ジョンの誕生日である10月9日に光が発射されている。
これも光だが、シガー・ロスのステージも光が重要な役割を果たしていた。偶然の一致なのか、それとも何かあるのだろうか。
では、シガー・ロスというバンドをどうして知ったのか?
それはフォトグラファーほりたよしかさんの「アイスランド 2024」というタイトルの写真展を観に行ったからだ。
この写真展は3月1日(土)までパークホテル東京(港区東新橋1-7-1汐留メディアタワー)34階のCorridor Galleryで開催中。
アイスランドのさりげない日常を切り取った写真とともに撮影されていたのがシガー・ロスのメンバーたちだった。
ほりたさんがアイスランドへ行ったのはそもそもシガー・ロスを撮影することが目的だったのだという。
それで私はシガー・ロスというバンドに興味を持った。

シガー・ロスの奏でる音楽をアンビエントあるいは環境音楽と書いたが、ジャンルなんて何の意味があるのだろうかとも思う。
変貌をし続けているからってこともあるし、それゆえにあえてジャンル分けをするのならば「シガー・ロス」という唯一無二のジャンルなのだろう。
歌詞はほとんどアイスランド語だ。
穏やかに聞くことが出来たサウンドはコンサートの最後になってロック調となって、まったりとしていたボーカルもパワフルになっていった。
間に20分の休憩を挟んで、コンサートは2部構成。それぞれ約1時間ずつで、最後はステージ前方にメンバーが出て挨拶をした。
一旦ステージをメンバーたちは去ったが、アンコールを求める拍手が鳴りやまず、彼らは再び姿を現したもののアンコールは演奏しなかった。
この日のセットリストはこちら:
第一部
01. Blóðberg
02. Ekki múkk
03. Fljótavík
04. 8
05. Von
06. Andvari
07. Starálfur
08. Dauðalogn
09. Varðeldur
第二部
10. Untitled #1 – Vaka
11. Untitled #3 – Samskeyti
12. Heysátan
13. Ylur
14. Skel
15. All Alright
16. Untitled #5 – Álafoss
17. Sé lest
18. Hoppípolla
19. Avalon
(はてなブログのセトリまとめより)

シガー・ロスは1994年、ヨンシー、ゲオルグ、アウグストの3人によってアイスランドのレイキャビックで結成された。
バンド結成の日にヨンシーに妹が生まれ、Sigurrosと名づけられたためバンド名をそこから取ったという。
母国でのデビューは1997年。
99年にキャルタンが加わる。アルバム『アゲインティス・ビリュン』でグローバルな成功を収める。

その後、ドラマーのアウグストが脱退し、ディラソンが加わる。
アルバム『( )』は、世界的に高い評価を受けた。このアルバムに収録されている「Vaka(Untitled #1 )」のミュージックビデオはMTVヨーロッパ・ミュージック・アワードで最優秀ビデオ賞を受賞した。
その後もメンバーの異動あり。
今回の東京公演はアジアツアーの一環で、2日間の東京でのライブはこの日が最終日。この後、シンガポールへと移動する。