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やり投げ選手は何を見て、何を考えているのだろう?【インタビューラジオ#3】
先日のパリオリンピックで、脳裏に焼き付いた映像があった。
やり投げだ。
それは選手の左下、地面すれすれから空を見上げるアングルで撮られた映像だった。放たれた矢の軌道が、月に向かって飛んでいくように見えて美しかった。今回のオリンピックで個人的にNo1に好きな映像だ。
その映像を見たときに、久しぶりに話をしたい人を思い出した。
話は少し寄り道するが、僕は以前、都内の書店で働いていた。その時に当時大学生だった鐘ヶ江君がアルバイトとして入社してきた。僕は書店に勤める会社員、彼はアルバイトの学生、そんな関係性のなかで、一緒にビジネス書の売り場をつくったり、レジに立ったりしていた。真面目でまっすぐ。そんな印象があった。
鐘ヶ江君は、やり投げの選手だった。僕は詳しくなかったが、どうやらかなり強いらしい、ということは知っていた。
あるとき、学業と部活が忙しくなり、鐘ヶ江君は書店を退職することになった。個人的にはもっと一緒に仕事をしたかったので残念に思ったが、自分の心に正直な選択をする人なんだなと尊敬の気持ちが同時にあった。
ちなみに、鐘ヶ江君は「スマホ依存」について研究をしていた。就寝前には鍵付きのケースにスマホをしまって物理的に触れなくする、という話を聴いてびっくりした記憶がある。僕なんて、寝室に持ち込まないチャレンジを何度もして、その都度挫折していたのに……そこでもまた尊敬の念が浮かんできたのを覚えている。
それからもときどき書店に遊びに来てくれたり、年に1回くらいのペースではオンラインで近況報告をかねた雑談をしたり、一度だけ栃木の大会があったときに会場まで行ったこともあった(生で見るやり投げは圧巻なので本当におすすめ!)。
鐘ヶ江君は病院に所属しながら、いまも競技を続けている。いつの日か世界陸上で鐘ヶ江君が躍動している姿を予感していたりする。誠に勝手であるが、そういう日が来るように思っていて、いまからたのしみに思っている。
思えば、彼が命を使う「やり投げ」というスポーツそのものについて、ゆっくりと耳を傾けた時間はこれまでなかった。
そこで今回の「待ちあわせはインタビューで」にお声がけしたところ、快諾してくれて収録する運びに。
おそらく、ほとんどの人がやりを投げたことがない、と思う(僕もない。ちょっと投げてみたいが)。だから今回は「やり投げ選手は何を見て、何を考えているのか?」を中心に聴いてみたかった。
どうしても聴いてみたかった質問を一番最初に投げかけてみた。
「やり投げ、って『投げる』という言葉がその競技名に入っているけれど、選手目線では『投げる』という感覚なんですか?」
そのときの鐘ヶ江君の回答が、分かりやすく、そしてとてもおもしろかった。ぜひ最初の5分間だけでも聴いてみてほしい。
なにかひとつ、探求した先になにがあるのだろうか。
僕も「インタビュー」を探求した先に何があるのだろう。命を使っていることは違うけど、いつかまた鐘ヶ江くんと近況報告しあえたらうれしいな、と思った。
鐘ヶ江君は、24年10月11日にSAGA2024 国スポ・全障スポに出場予定。NHKでも放映されるそうなので、やり投げに興味を持った方はぜひチェックを。たぶん、今回のラジオを聴くとやり投げが(少なくとも2倍)より楽しく観戦できるはず!