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スピッツのある歌詞と出会って

スピッツの「猫になりたい」という曲にはこんな歌詞があります。

猫になりたい 言葉ははかない
消えないようにキズつけてあげるよ

スピッツ「猫になりたい」

作詞の真意は知る由もないですが、初めて聴いた私は「言葉はキズをつけることでもあるのか」とはっとしたことをおぼえています。

思えば、文字を書くことは、もともと石や洞窟の壁にキズを刻み込むことでした(詳しいことは知らないので厳密なはじまりではないかもしれません)。

紙に鉛筆で何かを書くことも、紙の表面にキズをつけることに似ています。

口から出た言葉(音)は、誰かの鼓膜を揺らし、脳の神経に作用して初めて、意味として相手は認識するのでしょう。こちらも詳しくは知らないのですが、いずれにせよ、自分以外の誰かの身体、精神に作用して変化を起こすことは、物質に傷をつけることと、あまり違うようには思いません。

私たちが言葉を使うことは、キズをつけることに近いのだ、といつしか思うようになりました。

最近は、センシティブな時代なので、「傷をつける・傷つく=悪」と瞬間的に結び付けられてしまう時代なのかな、と感じます。もちろん、行き過ぎた行為はなくなったほうがよいと思いますが、一方で人と人が言葉を介して関わる限り不可避な部分はある、と思っておくと身軽でいられる気もしています。

そもそも、記憶に残る、というのもキズのひとつかもしれません(スピッツの歌詞でも「消えないように」と書かれており、記憶を連想しました)。嬉しい記憶もキズのひとつ。

キズひとつないように生き抜こうと思うよりは、キズつきながら生きてきたしこれからもそうなのだ、と思うくらいが(私にとっては)力を抜いて生きていけそう、そんなふうにスピッツの名曲を聴きながらふと思ったり。

今週はスピッツ多めに聴きながら、ぼちぼちと頑張っていきます。風邪が流行っているみたいなので、お気をつけください。それでは今日もよい一日を。

25/1/20

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