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有意義な時間の使い方

 旅行先では、短い時間の中でどう有意義に観光するかが私にとっての勝負どころなのだ。

 三重にある伊勢神宮の初詣ツアーに母と参加したことがあった。
 内宮の本殿へは長蛇の列だ。正月の参拝に列ができるのは想定内。それだというのにイライラする人が偶にいる。しかしその列では誰もその気配すら出そうとしなかった。神聖な場所だからだろうか。神聖な場所がそうさせているのだろうか。皆の表情は穏やかだった。列が終わり、参拝にて感謝と新年の抱負を伝えた。

 さて、ここからだ。内宮の近くには、食べ歩きの店が立ち並ぶ。美味しそうな香りに思わず喉鼓を鳴らす。限りない時間を使って少しでもいいから多くの店を回りたい。

「あのスーツ着てきている方ね」
 帰りに母が同じツアー客の初老の男性のことを話した。
「毎年参加していて、時間ギリギリまでご祈祷してもらうんだって」
 あの人は、他には目もくれずに。

 そんな使い方。

 なんだか、羨ましい。

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