落語日記 得意の演目は進化の道しるべ
第32回 馬治丹精会
8月13日 日本橋社会教育会館
金原亭馬治師匠主催の独演会で、運営スタッフとしてお手伝いをさせてもらっている。今回も受付等の事務作業をしていて、高座はときどき脇の通路から覗く程度で拝見。ロビーに流れるモニターの音声を作業中に聴くのみなので、全体を通して聴くことは出来なかった。
今回はちょうどお盆休みの最中なので、いつもの仕事帰りに寄っていただく観客の方が少なかったような印象。それでも、常連さんが多く来ていただき、笑い声のあふれる賑やかな会場となっていた。
ゲストは、今回初めてお呼びしたウクレレえいじさん。アロハシャツにマドロス帽の衣装でウクレレを抱えた姿で登場。まさに夏のイメージあふれる印象で、盛夏のこの日にピッタリ。
ネタも以前優勝された「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で披露されたモノマネネタを中心に、オリジナリティあふれる芸で楽しませてくれた。また、ウクレレの演奏でも本格的な楽曲を披露してくれて、その腕前も見事なものだった。
今回のネタ下しは「臆病源兵衛」。夏の滑稽噺として、先代馬生一門で聴かれる演目。馬治師匠も一門として、この噺を引き継いでいって欲しい。
この日の常連さんが、馬治師匠の高座で感心されて、感想を伝えてくれた。噺全体が短くなっていて、それは余計なものがそぎ落とされて磨き上げられたように感じた、という趣旨の高評価の感想だった。
聞き巧者で落語に造詣が深い常連さんのお言葉だけに、ありがたさと同時に、馬治ファンとしても嬉しくなった。ネタ下し以外の演目は「景清」。そして、この「景清」は二ツ目の頃から掛け続けてきた、得意中の得意の演目。馬治ファンなら何度も聴いている噺。何度も聴いているからこそ、その変化は分かる。
ということは、この演目は馬治師匠の進化の道標になっているといえる。この演目だからこそ、ご贔屓さんから変化を感じたとの感想をもらえたのだ。この日は客席でその変化を感じる機会はなかったが、次に「景清」を聴く機会を楽しみに待ちたいと思う。
隅田川わたし「子ほめ」
ウクレレえいじ ウクレレ漫談
金原亭馬治「臆病源兵衛」
ネタ下ろし
仲入り
金原亭馬治「景清」
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