第1回戦
さて。またも間があきましたこんばんは。私です。
約1ヶ月ぶりの投稿ですが、今回からは当時のメモ片手に記憶を頼りに書いていきます。
ホント・・・必死だったのだなー・・・。
2019年1月17日。
絶対に1月中にはカンバックするけんね!! と周囲に宣言しつつ、第1回目の抗がん剤投与のための入院生活をスタートさせた。
今回の入院期間は、「いつまで」という期限が曖昧だった。
18日に第1回目の抗がん剤投与を行い、1週間は副作用やその人の抵抗力がどこまで下がるか、などの検査観察のために入院するのは決まっているのだが、そこから先は、抗体検査で結果が上向きになったら退院、という「自分ではどうしようもない物」に委ねられる。
つまり、自身の体質によっては1月いっぱいまでどころか、2月に食い込む可能性もあり、場合によっては手術による入院よりも期間が長くなるということに、
「腹切って寝込んだ期間より点滴1回分の入院の方が長くなるってこと?それって考えたらおかしいやん?」
と思わずにいられなかった。
自分の免疫力。病気やウイルスに対する抵抗力。
抗がん剤治療の間、自分の体質とじっくり向き合った気がする。
なんとなく、
「そういえばインフルエンザかかったことないなー」とか、
「周りが風邪でばたばた休んでも自分は平気だったなー」とか
アバウトに考えて免疫力はそこそこあるのでは?と思いつつ、それが抗がん剤という良くも悪くも攻撃的なやつらを体内に入れることでどう変化するか。
実は。入院直前まで、迷ってました。
入院するまで考えてたんです。
「抗がん剤って本当に効果あるのか?」と。
だから、グーグル先生に
「先生、抗がん剤って本当に効果あるんですか?」
と検索かけては一喜一憂・・・というより一憂ばかりしていました。
こういう時、グーグル先生にセカンドオピニオンもどきをお願いしてはだめですね。
抗がん剤についての治療方法や副作用などを説明したサイトの中に、「抗がん剤は無意味!」というマイナスなコラムを突きつけてくるのです。
アメリカのなんちゃらという学者さんが「抗がん剤による治療は、患者の免疫力を下げて余計にがん細胞が活発化するから逆効果でござる!」という論文を発表したことにより、アメリカのがん治療方針は化学療法(=抗がん剤治療)をやめ、患者自身の免疫力を上げる免疫療法に切り替えたことにより生存率が上がっている!未だに抗がん剤治療をやってるのは日本だけだぞ!だから抗がん剤治療なんて馬鹿なことをするでない!いいかするなよ!絶対にするなよ!
こういうものを初めて目にした時、本当に決意が揺らぎました。
果たして私の選択は間違っているのか。手術で切除できているのだからそこからは余計なことをせずともよいのではないかと。
確かに、抗がん剤治療をすると決めた日、医師からきちんと抗がん剤の仕組みを伺いました。
体内に潜んでいるかもしれないがん細胞を攻撃すると同時に、攻撃しないでも良い細胞まで攻撃する。だから体に"副作用"という形であらわれる。
私としては、「毒をもって毒を制す」というわけではないが、ガンができやすい家系であるということを踏まえて、徹底的にやっつけるという気持ちで抗がん剤治療を決意したのに、揺らいでしまうようなコラムだのなんだのを突きつけるとはどういうことだグーグルめ!!!!!
結局、最後まで揺らいだままでした。
揺らいだまま、実は入院日を迎えてしまいました。
こうなってしまったらしゃあないわ、もう腹くくってしまおう!!!と、入院の一歩を踏み出したのでした。
いや、抗がん剤治療やめよう、と思わせるにはもう一歩が足らなかったのです。最初にこう!と決めたら最後まで貫こう。自分信じて戦ってみよう。当日、そう腹をくくったのです。
というのもね、正直、抗がん剤治療否定派の人たちの持論の根底が・・・嘘くさいんだよ・・・何が「病院は悪」だよ・・・なんだよそこまで極論すぎるとなんか言ってることが全部胡散臭く読めてくるんだよ・・・なんだよこいつら・・・
まあ、良くも悪くも覗かんでもいいネットの世界の深淵を覗いてしまったわけです。ただそれだけだと思うことにしました。
入院した病室は、奇しくも前回手術時と同じ病室でした。更にいうと、当時抗がん剤治療第1回目のために入院していた、あのお姉さんのポジションでした。要するに、前回の私のお隣。
なんだか奇妙な縁を思った私は、彼女と同じように上がらない免疫力に引きこもっていくようになるのかと半分不安になりつつも、そんな彼女も退院してもういないじゃないかという安心感がありました。
まあ・・・1ヶ月近くも入院してたらどんだけ免疫力低下するねん、それだと通常の病室じゃ無理でしょ、と自己ツッコミしつつ。
入院して翌日、抗がん剤第1回投与の日。
吐き気を抑えてくれるという薬(でかいカプセル)を飲んだ私は、その日点滴担当の方を困らせてしまいました。
「血管が出てこない・・・(泣)」
私の腕、看護師さんたちにはなかなか厄介な腕らしく、採血や点滴のたび、針をうてそうな血管を求めて腕を見回したり、撫でたりペチペチ叩いたり、いざ打っても失敗したり、とにかく苦戦させる腕なのです。
この日来てくれた担当の方は、看護師ではなく、どうやらまだ新米の医者?だったようで、白衣を着ててかっこいいクール系女医さんという外観のわりに、私の腕を何度も持ち替えて首を傾げたり、なんどもペチペチ叩いて針を刺そうとして躊躇したり、それも何度も消毒をしては「・・・???」という顔をしてしまうのです。
結局何度か刺したもののどれもだめで、泣きそうな声で
「すみません・・・他の方呼びますね・・・」
と誰かに連絡をする始末・・・。
あのときの女医さん、すまんかったです。
抗がん剤投与中は、ほぼほぼ眠っていました。
というのは、点滴の中に眠ってしまう作用が含まれているためでして。
なので、これを初回として全6回打つことになるわけですが、
「点滴打ちながら仕事してたらアテクシカコイイ」
とかうっすら馬鹿みたいに思ってたけど、そういうカコイイことは全然できないまま、点滴中はほぼ爆睡することになります。
※これ書いてる現在、全6回終えてますw
抗がん剤治療を受けた人のブログは星の数ほどあるでしょうけど、ほぼほぼ「打っている最中よりも打った後の経過のほうがボリューミー」だと思いますが、ご多分に漏れず、私もそうなります。
ただ、抗がん剤治療による副作用やその後の経過については、その人それぞれで違うと思います。私と全く同じ薬だとしても。
それがその人の持つ体質であり、その体質が受け止めた末に発生する副作用だから、違って当たり前なのです。
なので私の場合も、副作用の話は「こういうケースもあるんだ」程度にとらえてほしいと思います。
みんながみんな、同じではないということです。
抗がん剤治療で出てくる副作用については、グーグル先生が教えてくれますが、代表的なものとしては、
・吐き気、嘔吐
・食欲減退
・体の痛み、だるさ
・脱毛
・下痢
・便秘
・免疫力低下
などなど挙げられています。
私の場合。
点滴翌日から、ものすごい関節痛と筋肉痛がやってきました。
医師や看護師からは、「インフルエンザにかかった時とほぼ同じくらい」と言われたのですが、先程こそっとふれた通り、インフルエンザにかかったことがない(病院でそういう結果が出たことがない)私にとっては初めての体験で、
『えーインフルの人こんな体痛くなってんのー!?きっつ・・・!!』
と、ベッドの上をのたうっておりました。というか正直体動かすのもしんどかったので、かなり鎮痛剤のお世話になりました。
関節痛と筋肉痛が治りかける3日目あたりだけ、顔がぼーっとあったかくなりました。更年期障害のホットフラッシュかなと思ったのですが、そうではなく、顔が赤くなった上であつくなったんです。なんかまるで酔っ払ってるみたいだと思ったのですが、それもそのはず。
点滴の中に、アルコール成分が含まれており、お酒に弱い体質の人は、2〜3日あたりで顔が熱くなったり赤くなったりするそうです。
20代のとき、飲み会で飲みすぎて大失敗を経験したことがあり(内容については想像におまかせします)、それ以来飲み会を避けたり、出席せざるを得ないものについては酒を飲まなかったり最初の1杯目だけつきあいのお酒にして後はソフトドリンクにしたりして酒を控え続けていたのですが、酒に弱い体質というのはちょっと意外でした。
お酒といえば、父が酒好きで毎日焼酎をがばがば飲んでいた記憶があるのですが、母に言わせると「"酒を飲む=酒好き"、ではないんだよ」とのことで、実際父は酒が弱かったとか。
母方でも祖父はお酒は飲む方ではなかったそうで、そういうこと考えたらやっぱりここも血筋かあ・・・と、遺伝の業の深さには驚かされるばかりでした。
吐き気については、入院期間中全くありませんでした。吐き気を抑える薬というのを点滴当日から3日間朝に服用するのですが、それがよく効いたようでした。
「抗がん剤治療といえば、吐き気がすごくて洗面器やバケツ抱えてげーげー言ってそう」
と、後日会社の方から言われたことなのですが、まったくこんなことはありませんでした。
・・・まあ、この初回「何もなかった」ということが第2回目の油断(?)につながるのですが・・・それはあとで書きましょう・・・。
入院期間中に訪れた副作用が関節痛や筋肉痛程度だったため、看護師や医師からはかなり楽な患者扱いでした(笑)。食欲の減退もなく日々出される食事は完食、それどころか、「おやつにプリン食べていい?」「みかん食べていい?」とか、逆にろくに動いてもないくせに食欲だけは衰えない元気な姿は、抗がん剤治療中の患者とは程遠いものであったと思います。
・・・抗がん剤治療で痩せると思っていた自分にとっても誤算でした。
ただ、血液検査で抗体の数値が低下したと教えてもらったときには、かなり構えました。
当時、巷ではインフルエンザが猛威を奮っておりました。
病院内も例外なく、院内感染が広がりを見せ、感染者が出た病室は隔離されたり、お見舞い制限もされたりなど、初めは小規模だったものの、人が集まるスペースはことごとく閉鎖、ついにはフロア全体でお見舞いが禁止されたりなど、さまざまな処置が取られました。
私の部屋でも感染者が出てしまったときには、さすがに「これはやばい。私も人生初のインフルかかるかも」と思ったぐらいです。マスクに手洗い、消毒は欠かせませんでした。
にもかかわらず、同室のとある患者の身内の一人がお見舞いといって部屋に入ってきた(ナースステーションを抜けてきたにもかかわらず)時には、彼女が非常識に見えて仕方なかった。彼女が看護師に注意されて病室を出るまで、『こんな状況でよく来たな小娘よ!インフルやら風邪やらになったらどうしてくれる!!てか患者、その見舞客と一緒に出て行ってしまえ!!』と憤慨して怒鳴りたくなる衝動を押さえつけていました。
ここで思い出したのが、例の彼女です。
ほんの僅かな咳をした私から、風邪を引いていると思って遠ざかった彼女。
彼女もきっと、低下した自分の抵抗力に注意をはらい、風邪など引いて治療を遅らせまい、順調に治療を済ませたいという一心だったと思います。さらに抗体の数値が上がらずに退院のめどが立たないといっていたあたり、ままならない状態に歯がゆい思いをしていたかもしれません。
そんな彼女と同じ状況になって初めて、私は彼女の気持ちを知った気がします。
彼女にもう少し、気を使えばよかった。
そうしたら、同じ病気を生き抜いた者同士として、入院期間中は明るく話せたかもしれないのに。
まあ、そんなほろ苦い後悔を感じる一方で。
私の抗体の数値は2回目の抗体検査であっさり上昇し、さくっと退院となったのでした。
なんだ・・・私には副作用はあまりないようではないか。
副作用は人それぞれと言われたが、私は比較的軽めでよかった。
これなら第2回目以降の治療も日帰りでできそうだ。
(副作用がひどかったり、抗体が上がりづらい人によっては、2泊3日の入院で治療をせねばならないので、それは避けたいと思っていました)
まあ、そんな油断(?)が第2回目の治療の副作用につながるのですが・・・それは次回にしましょう。
続く!!
余談:髪の毛の話
担当医曰く、
「副作用については人それぞれですが、脱毛だけは必ず起きます。過去僕の受け持った患者の中で、関節痛も筋肉痛も吐き気もなかった人が一人だけいましたが・・・その人も脱毛はしました」
とのことですが、この時点では脱毛は始まってなかったです。
が、脱毛は避けきれないのか・・・という観念したという気持ちで、入院初日に病院内にある美容院で、肩より下まで伸びていた髪をばっさりショートにしました。本当はショートにするんじゃなくてがっつりバリカンで剃ろうと思ったのよ、でもさ、美容院の人がとめるわ、母もとめるわで結局断念しました・・・。
だって、担当医からもらった資料によると、統計上副作用で脱毛した患者の割合が98%とのことでして・・・。残り2%は脱毛しなかった、ってことでしょうか・・・残り2%のサバイバーにきいてみたい気分です。
母「少数派を生きるあんたなら、残り2%に入れるんじゃない?てか入ってくださいお願いします・・・!!!」
・・・母の願いは、叶いませんでした。(無慈悲)
退院して数日後、髪を洗うごとにがっつり抜け落ちていき、排水口がまっくろくろすけでごった返すこととなりました・・・。
約2週間で、娘はほぼほぼ「出家したような頭」に仕上がりました。
いやーさすがに2%の壁はきついって!!!!!
脱毛する副作用って、あきらかに外観が変わるので困ったもんですよね。薬によっては脱毛しないものもあるそうですが、病院がその薬を扱ってるかによるだろうし、あとガンの場所やステージによっても違ってくるだろうから、避けようがないですよね。
とはいえ、最近ではリーズナブル(でも万単位だけど)なかつらもありますので、女性でも安心(?)して治療に臨めます。これについて詳細書きたいですね。