![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27472364/rectangle_large_type_2_f75cbea4ddd547067a7a948238095386.jpg?width=1200)
「寄り道したからこそ気がつけた自分の形がある」江副真文さんの足あと
他者と出会うことで初めて見える自分の輪郭がある。
「自分はどんな風に生きようか」と一人で考えるのではなく、他者を知ると自分の輪郭が不思議と浮き上がってくることがあります。KUUMAに関わる人のこれまでの足あとを辿る「あの人の足あと」を始めます。
取材したのはKUUMAチームの一人、江副真文(えぞえ まぶみ)さん。現在KUUMAを含め3つの仕事をされています。なぜ3つも仕事をしているのか、どんな決断を重ねて今に至るのか、江副さんの足あとを辿ります。
①結果的に3つの仕事に
ー江副さんは3つのお仕事をされていますが、どんな経緯で現在の働き方に至ったのですか?
やりたいことがある人を助けられるならどんな仕事だってやれる、そう思って働いていたら結果的に3つの仕事をするに至りました。そもそも「人が好き」ということが僕の根底にあります。自分がやりたいことを発信するより、やりたいことがある人の助けになりたいんです。水道管工事のような、「人目にはつかないけれど、決して欠かせない仕事」にロマンを感じますね。
ー水道管工事の例えは江副さんの性格や思考をうまく言い表している気がします。ですが、3つもの仕事はどのように見つけたのですか?
新卒で入社した会社と、現在も働いているKUUMAは、誘いをもらって入社した点で共通しています。新卒で入社した会社は、友人の誘いでイベントスタッフのアルバイトをしていただけでしたが、自分の好きな音楽が生かせる現場だったので積極的に関わるようになり、その後入社の誘いをもらえたんです。
その会社を退職後、次に何をするか迷ったのでSNSで自分の思いを発信してみたら、KUUMA代表の濱部玲美さん(以下、れみさん)が声をかけてくれたんです。未経験の仕事もありましたが、自分の経験をどう生かせるかを考え、KUUMAへの入社を決めました。自分の声を拾ってくれた人がいて、今があります。
ー声をあげるまでは、誰に拾ってもらえるかは分からないですよね。私も一人で答えを出そうとしてしまうことが多いので、発信って大事だなと改めて感じます。
僕もつい一人で全部やろうとしてしまいますが、素直に発信したからこそ今があります。
KUUMAで働いていると、やりたいことがある人をサポートしたいと思うようになりました。他のメンバーが苦手な業務効率化ツールなどを整えるのが得意だったし、プロジェクトマネージャーとしてチームメンバーが気持ちよく働くために何が出来るか考えています。メンバーに喜んでもらえたときは嬉しかったです。
やりたいことがある人のサポートをすることが自分が働く上でのポイントだと気がついてから、NPO法人で活動する人をNPOや社会活動に頑張る人たちを支えるファンドレーザーの資格を取得したり、神戸でやりたいことがある人をサポートするUnknown KobeというNPO法人を立ち上げたりしました。「一緒にやらない?」と声をかけてもらうだけではなく、自分の経験をどう生かすか考えていたら、結果的に今の働き方になりました。
②寄り道するから見えてくる自分のかたち
ー江副さんはご自身のことをとても客観視できている印象をうけます。自分の性格や得意なことにはどのように気がついていったのですか?
自分の特徴は、色々な仕事をして、色々な人と働いてみることで見えてきました。頭で考えるだけでは、気がつけなかったなぁと思います。KUUMAのメンバーは得意なことや苦手なことについて、全員のタイプが異なるんです。違うタイプのメンバーが集まっているからこそ、自分の性格や得意に気がつけました。
ー自分の特徴は、自分と違う他者との出会いがあってこそ気づけますよね。
「自分はこんな人だ」と決めつけないことが大事だと思います。どんな仕事も、考え方次第で自分の経験値になりますしね。寄り道したっていいと思うんです。寄り道は目的地までの最短ルートではないかもしれないけれど、いい意味でのハプニングが起こる道でもあります。意外な発見や出会いがそこで生まれて、思ってもみなかった面白い道につながるかもしれないですしね。
ー「失敗したくない」という思いが寄り道しようとする足を止めてしまうのかもしれないですね。
そうですね。それに、自分で寄り道する道を見つけられなくても、声をあげたら誰かが教えてくれるかもしれません。自分の声を誰が拾ってくれるかは発信してみないと分からないので。
③誰かの「やりたい!」を実現する場作りを
ー色々な仕事をされていますが、今後挑戦していきたいことはありますか?
やりたいことがある人の想いの実現のために場をつくりたいです。場づくりを通して、地元の六甲アイランドを含め神戸を盛り上げたいですね。
ー神戸で、ということには何か理由があるのですか?
神戸は色んなものとの距離がほどよく、都市と田舎の両方の顔をもつ町だと思います。人と自然の距離だけではなく、人と人の距離もですね。神戸だからこそ、つながりたい人同士を繋ぐことが出来ると思うんです。
ー神戸は業界・業種問わず活動している人たちが、するするっとつながる印象がありますね。
Unknown Kobeには、行政の人からまちのパン屋さんまで、既に様々な人が集まっています。ばらばらに活動するよりも、一緒に力を合わせた方ができることがあると思うんです。神戸で何か挑戦したいことがある人を後押しするプラットフォームにしたいですね。
ー神戸でこれから活動していきたい人にはすごく心強いコミュニティですね。
そんな場所を地元の六甲アイランドにもつくりたいんです。六甲アイランドは神戸にある人工島で、住民は高齢者の方が比較的多いのですが、最近は子育て世代をはじめ若い人も増えてきています。ですが、六甲アイランドには依然として若い人たちが集まれる場所がほとんどないんです。
でも、街の様子を見ていると、子供向けに料理教室をやりたいママさんがいたり、プロのゲーマーを目指す人がいたり、コスプレイヤーが出入りしていたりするんです。みんながやりたいことができる場所が、六甲アイランドにも必要だなと思っています。今はそんな人たちが点でばらばらの状態なので、「こんな人たちがいたんだ!」と知ってもらうところから始めたいですね。
自分がこれまで得た知識や経験から六甲アイランドに還元できそうなことは多くて、引き出しはたくさんある状態です。これも、色々な場所で働く中での出会いや経験があったからこそだと思います。
*編集担当より
「失敗するのが怖い」という気持ちが、決断を躊躇させる大きな要因だと思います。「失敗したらどうしよう」ではなく「現状をもっと楽しくするために、今の自分に何が出来るか」と足下をみつめて考えることで、江副さんのように自分なりの道が開けることがあります。道の歩き方は人それぞれですが、決断ができずに足が止まってしまう人は、まずは声をあげて寄り道先を見つけることから始めるといいかもしれません。
企画・編集担当:木村有希
KUUMAにて現在インターンシップ中。企画の思いを表現して形にする仕事に惹かれ、編集の仕事を学ぶ。個人でイラストの制作も行っている。