19.歯磨き

 彼女がベッドの上で足を投げ出し、歯を磨きながら携帯を弄っている。
 太くむちむちとした太ももを見ていると、つい枕にしたくなってしまった。ころんと膝枕に転がると、ちらりと横目で見るだけですぐに携帯へと視線を戻す。
 僕も携帯を取り出し、頭上のしゃかしゃかと歯を磨く音を聞きながらゲームを始めた。
 ふいに頭の近くにある腹部が痙攣するように前後し、顔にべしゃっと水っぽい何かが掛かる。
 どうやらくしゃみをした拍子に口内のものを吹き出したようだった。
 とりあえず携帯を置き、枕元のティッシュで拭きながら洗面所へと顔を洗いに行く。
 背後からくつくつと笑う声が追ってきた。
 次回は気を付けようと思う。

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