25.たんたん

「たんたんはどうしてたんたんなんだい?」
「たんたん狸のたんたんだよ」
「たんたんは狸なのかい?」
「たんたんはたーぬたーんだよ」
 何故かいつもたぬたんと言う時だけ叫ぶ彼女は、今日も両腕を高く上げて大の字でジャンプする。
 とはいえ、小学生の頃にいくつものスポーツをしていたのにも関わらず、運動神経が最悪な彼女のジャンプはさほど高くはないのだけど。
「たんたん、もう一回ジャンプして」
 携帯を構える僕に首を傾げ、少し屈んでジャンプした。
「たんたんたん、見て。跳べてないの」
 撮った動画を見せると、覗き込んだ体制のまま、頭突きをされた。
 頭を押さえて呻くくらいなら、頭突きなんてしないでくれ。

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