23.眠い

 ふと思い立ち、二人で少し離れた所へ買い物に出掛けた。
 初めはご機嫌だった彼女が次第に、足が痛い、疲れたとぐずり出したので、近くのベンチに並んで腰かける。
 ぽつぽつと会話をしながら携帯をいじっていると、会話が途切れていることに気がついた。
 隣の彼女を見ると、見事に寝こけている。
 暫くそのままにしよう。起こしたところで機嫌が悪くなるのは目に見えていた。
「んあ? 寝てた」
 目が覚めたらしい彼女がこちらをじっと見つめる。まだ眠そうな顔をしていた彼女に、何となく瞼を細めては閉じ、細めては閉じを繰り返して見せた。
 彼女もその動きに合わせて目を閉じ始める。
 起きたらまたやってみようと思う。

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