24.寝なさい

 夜中、ふと目が覚めて隣を見ると、彼女が携帯で小説を読んでいた。
 どうせ明日もニートなのだが、きちんと昼間に起きていれば家の事くらいはできるはずだ。
 もう寝なさいという意味を込めて抱き締めるが、手を払われたうえに毛布にくるまってしまった。
 そもそも、扇風機をかけるほど暑いのに毛布を出しっぱなしにするのは如何なものだろうか。
 仕方がない。最終手段を取ることにした。
 おもむろに右手を彼女の眼前に翳す。
 後ろ手にぱしんと腹を叩かれた。しかも無言で。
 ごめんなさい。不可抗力なんです。目を閉じさせようとしただけなんです。決して目に指を入れるつもりはなかったんです。
 だから、もう寝ようよ。

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