昧爽暴走マイソウル
「ありがとうございました、助かりました」
ヒッチハイカーの青年を降ろして、バタンとドアを閉めた。
時刻はまもなく、3時になろうとしている。外はまだ漆黒の闇だ。
これから走り続けたら、目的地に着くのは朝になるだろうか。
さて、戻りますか。自分の旅へ。
エンジンをかけ、オーディオのスイッチを入れる。
聴き慣れたイントロに、テンションが高まる。「すっとこどっこいデストロイヤー」、この間のコンサートのアレンジも良かったなあ。
娘よりもはるかに若い少女の姿を思い浮かべる。
ツインテールの、なみるん。
頰が緩むのを抑えられないが、もう我慢する必要もない。ここは密室、愛車の中でひとりきり。
銀色のボディと共にひたすら走る。走る。走る。
この時間が好きだ。
やがて、周囲が明るくなっていく。
君が新たな一歩を進む佳き日。
その到来を告げる太陽が今、昇る。
その眩い光に向かって、叫んだ。
「お誕生日おめでとーう!なみるん!」
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