靴家さちこ

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  • KIJI ~雉~

    在フィンランドライター靴家さちこが、心に残る日々の出来事をふりかえり綴る、魂をゆさぶるエッセイ&随筆集。

  • 住んでみて驚いた本当のフィンランド/靴家さちこ&セルボ貴子

    共著『住んでみてわかった本当のフィンランド』に収まりきらなかった「お宝原稿」及び「続編」を公開。目から鱗の在住者録。

最近の記事

宝箱   5.「じこはおこるさ」

 2歳になっても発話が「ラリラリラリラリ」ばかりだった次男。ネウボラの2歳児検診で紹介された言語聴覚士の元に行くと、彼が短い指示を理解できるか、言葉にどう反応するかなどが調べられた。私のこれまでの観察も、この子の兄が自閉症スペクトラム障害と疑われ、経過観察中であるということも、何もかも聞いてもらった。  言語聴覚士はケラヴァの保健センターに在籍しており、私たちは週に一度彼女の部屋に通うようになった。長男の自閉症の診断はすぐにつかず、療育らしいことも行っていないのに、なぜ2歳

    • 宝箱   4.ラリラリくん

       子どもを産み、「ママ」と呼ばれることはそれほど簡単なことではない。そのことを身をもって教えてくれたのは次男だ。次男は2008年の冬に、フィンランドで生まれた。長男は日本生まれなので、フィンランドで初めての出産は心細く、お腹をさすりながら雪道を恐る恐る歩いた。夏でも冬でも白い幹でただ立っている白樺が見守っていてくれるような気がして、そんな優しい子どもに育つように、日本語で「優しい樹」という意味の名前を付けた。  生後7カ月で日本からフィンランドに移り住んできた長男は4歳半と

      • 宝箱   3.パプリカ爺さん

         フィンランド在住14年。子ども達に軽度の障害があり、細々と執筆の仕事を続ける以外、職業人としてフィンランド社会に入る機会が得られなかった。福祉の国の無料の医療とリハビリの甲斐があって、無事に子ども達が就学すると、私は「ラヒホイタヤ」という福祉の総合資格を取得する道を見出した。その資格があれば保育士や介護士や、次男が保育園でお世話になった障害児のアシスタントとして働けるようになる。  ラヒホイタヤ養成コースは二年で修了することができ、一年目保育、介護、障害者ケアの三部門を網

        • 宝箱   2.祖父への手紙

          2008年フィンランドにて、祖父の葬式に出席できなかった時に書いた手紙 おじいちゃん、海の向こうであなたの訃報を聞きました。ここ数年間、いつかこうなることは覚悟していたけれど、こうして本当に会えなくなる日がくるなんて、本当にとても寂しいです。 おじいちゃんとは、あともう一度、ビールを一緒に飲みたかったな。寝たきりになってからも、時折、つやつやのほっぺで調子が良さそうにしている日などがあると、もしかして、そんな日がもう一度くるのではと、淡い期待を抱くこともありました。 最

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        • KIJI ~雉~
          5本
        • 住んでみて驚いた本当のフィンランド/靴家さちこ&セルボ貴子
          6本
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        記事

          宝箱   1.北京ダック

          5歳から7歳のとき、父の仕事の都合でタイのバンコクに住んでいた。タイは熱いし、住んでいたアパートの古いエアコンは戦車みたいな音を出すし、当時の私が憧れていたような金髪で青い目の人達が英語で話す国ではなかったけれど、父の駐在員という身分についてきた贅沢な暮らしぶりを、幼い私はかなり気に入ってしまった。 日本に帰ったら普通のサラリーマン家庭に戻るので、贅沢に慣れてしまわないようにと、父は質素なアパートを借りていた。それでも私たちが住んでいたアパートは外国人専用で、守衛もプールも

          宝箱   1.北京ダック

          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~独立後の迷走・概説フィンランド史(5)~ 靴家さちこ

          フィンランドの独立記念日は12月6日。この祝日には街中のいたるところで国旗が掲揚され、家々の窓辺にはフィンランドカラーの白と青のろうそくが2本立てられ灯りがともされる。1917年のその日には、ロシア化革命のどさくさに紛れてスヴィンフッヴド率いるフィンランド人議員たちがフィンランドの独立宣言を採用し、ロシアとの関係を断った。 しかしここでまだ一波乱ある。なんと、早速、独立後の新政府のあり方を巡って、フィンランド国内が分裂し、1918年1月には内戦が起きてしまったのだ。 「フ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~独立後の迷走・概説フィンランド史(5)~ 靴家さちこ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~いよいよ独立!フィンランド誕生・概説フィンランド史(4)~ 靴家さちこ

          大公国フィンランドとロシア帝国との蜜月も、1871年に成立したドイツ帝国に動揺したロシアが中央集権化に走ったことで終焉を迎える。1894年にフランスと同盟を結んだロシアはドイツとの関係を悪化させ、ロシアは対独戦争の準備のためさらに強権を進めた。当時のロシア皇帝ニコライ2世は、1899年に「二月詔書」でフィンランドのロシア化政策を打ち出し、フィンランド人の自治は剥奪され、フィンランド語も禁止され、公用語としてロシア語が強要された。 この締め付けにより、フィンランド人の民族意識

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~いよいよ独立!フィンランド誕生・概説フィンランド史(4)~ 靴家さちこ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~宗教のことロシア統治下時代のこと・概説フィンランド史(3)~ 靴家さちこ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~宗教のことロシア統治下時代のこと・概説フィンランド史(3)~ 靴家さちこ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~十字軍とかノブゴロドとかカルマル同盟とか・概説フィンランド史(2)~ 靴家さちこ

          前号にも書いたが、世界史なら苦手だ。数字音痴が年号を頭に叩き込み、方向音痴が地図の中に迷い込み、戦で何度も変わる国境を必死で追ってみても全体像はつかみにくい。会ったこともない昔の偉人たちの長たらしい名前は「テストに出たら怖いぞ」と恐怖心をあおるだけで、なかなか親しみがもてない。 それでもいざ外国に住むとなれば、歴史ほどその国の人の国民性を探るうえで手がかりになるものはない。ノキア・ジャパンで数年働きフィンランド人と接しただけでも、「もとはスウェーデンの支配下にあった」「ロシ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~十字軍とかノブゴロドとかカルマル同盟とか・概説フィンランド史(2)~ 靴家さちこ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~新しい国フィンランド・概説フィンランド史(1)~ 靴家さちこ

          2004年にフィンランド人の夫の故郷に移住してきた私が驚いたのは、近所に乱立するガラス張りバルコニー付きの近未来的なマンションの数々だった。これほどまでに、高さだけ同じもののデザインや色の統制がとれていない、ヨーロッパらしからぬマンションだらけなのは、私達の住むエリアが開発中だからだとも思ったが、首都ヘルシンキにしてみても、それほど歴史の重みを“どーん”と感じる古めかしい建物が、あまりない。 他の欧州の首都と比べても、全体的にレンガ造りの建物が少なく、どちらかというと、レモ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~新しい国フィンランド・概説フィンランド史(1)~ 靴家さちこ

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          「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~未来の国へ移住編~ 靴家さちこ

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