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くすぶっている私へ、「Lab」へ行け

【このnoteは、“あなたのまちのパビリオン“の参考作品として、兵庫県から依頼を受けて執筆しています。】

くつざわです。
久々にnoteを書きます。まだ見てくれてる人がいるといいな。

書いていなかったこの1年で、「日常での感情の起伏が大きいほど、創作意欲が湧く」ということに気付きました。

つまりnoteを書いていなかったのは、刺激のなく緩やかな幸せの日々をずっと過ごしていたからでして...
だから特に「書く」必要がなかったんですね。

言いたいこともないし、何かに対する強い想いもない。

ですが、今回は久々に書いてみようと思いました。というのも感情の起伏が生まれたからです。

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去年投稿した「ひょうごフィールドパビリオン」のプロモーション動画ですが、今年もご依頼いただきました。うれし〜!

例年通り動画で進める予定でしたが、実際に兵庫に赴いたところ「あ、これは動画じゃないや。」と思い、感じたことを全部書きたくてnoteにさせてもらいました。
きっと、動画よりも伝わるものになると信じています。文章ってそういうものだもの

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「ひょうごフィールドパビリオン」っていうのはそもそもどういう取り組みなの?って、まだ知らない方に簡単にお伝えすると

来年、大阪・関西万博に展示の「パビリオン」が並ぶじゃないですか。
そこで兵庫県は
「県というフィールド、まるごとパビリオンなのよ」
「実際に来て、見て、体感して、ありのままの兵庫を感じてね」
「そのために、パビリオン体験のためのプログラムを、地元の人みんなで考えて用意したよ」

っていう取り組みをしています。あらわかりやすい!

初めて聞いたら「観光ツアー的なものかな?」って思うのかも。
そんな方、寄ってらっしゃい。

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新幹線の中で、「tamaki niime」の文字が並ぶ検索ページをスクロールしながら、そのブランドが創り上げる世界のことを考えていた。

新神戸の出口からレンタカーへの道はもう慣れたもので、さらっと車に乗り込む。

なお運転は初心者。
のろのろとした運転で西脇市に入ると、穏やかな川の流れる側には「tamaki niime」の文字が浮かぶ建物があった。

工場のような、工房のような、この田園風景に溶け込むような、異質なような、そんな建物。

ここで体験できるプログラムは、主に西脇市で生産される「播州織り」を作る工程が見れたり、一部の体験が出来たり。

あれか、工場見学みたいなやつかな?

そう思いながら入った場所には、播州織りの品々が並んでいる。

案内をしてくれる染師の彼女は同い年で、デニムの前掛けがかっこいい。
「これも播州織ですよ」と笑って、デニムを触らせてもらったが、あまりに柔らかくて「エッ!これ買います!!」なんて言ってしまって。

製造から販売までの全ての工程を行う「Lab(ラボ)」と呼ばれる場所に入ると、ガッシャンガッシャン、人の声、動物の鳴き声、ガッシャンガッシャン。
音と色が混ざった空間だった。
動物の声...?

外に出るとアルパカ、羊、ヤギなど数多くの動物たちが気ままに暮らしている。あれ、ここ工場だよね?
「うちは1から播州織りを作っているので」という言葉を思い出す。

あ、そこから!?

この子達の毛が、あの棚に陳列されていた商品になる。本当にこのラボで始まり、このラボで終わっていた。

君も頑張ってんだね!
紡がれた糸たち

驚くのが、コットンまでも栽培しているこのラボ。時期によっては、収穫もお手伝いできるとのこと。
初めて収穫したコットンは思ったよりもぎっしりしていて、ほぐすとモキュモキュとした不思議な感触。

ちなみに、日本で使われるコットンはほぼ輸入頼りの状況である。

それでも「tamaki niime」は、純粋な国内での生産で、かつ全てが一点物の播州織りを作っている。

自然と共にある「ものづくり」というものの原点を、次世代への繋げること、作品を通じてその取り組みを発信すること。「tamaki niime」の軸は、そこにあった。

それにしても、日本でコットン栽培から始めるなんて普通ではない。

さらに普通でないのが、染料のレシピが壁一面に張り出されている光景。
糸の原料だけじゃなく、染料の素材も自分たちで調達し、配合を考えて試す。試す。試す。
これはもう、工場じゃなくて「研究所」だな。

「世の中に出回る既製品の糸の色の種類には限界があるから、常に自分たちで新しい色を生み出してる」と染師の彼女が言います。

本当に同い年ですか。
私、毎日同じような生活を同じ場所で繰り返してるんですけど。

綺麗な黄色が出る玉ねぎの皮
拾った栗まで染料へ
一点物の色を毎回考えるデザイナーさん。

そうなんです。ここで織られる物たちは、同じものは一つとしてないんです。

素材、染料、染め方、組み合わせ、形から何から変化をさせ続ける。

働く人たちは、ただ「生産」をするのではなく、ああしたいこうしたい、それを実際にやってみる。
この時点で「やっぱ普通じゃないな」と確信した。

たしかに普通の工場にはない光景。

「工場生産」と「個人の意思」というのはまず共存しにくい。
その中で、個人が「これをしてみたい」に挑戦できるというのは、美しくもあるが、相当なチームワーク、技術、仕組みも必要になる。

でも、それが実現できている。

そしてこのラボ、どの工程に携わる人を見ても、全員活き活きしている。いいなぁ。
これが、「変態モノづくり集団」であーる。

そこかしこにある この文字

「変態」は、「常に状態を変化させていく」という意味だと教えてもらった。現状に留まらず常に新しいモノを生み出すこのラボに、あまりにお似合いすぎる言葉。

さて、そろそろラボの「変」だけじゃなく「愛」も紹介します。

「ファイヤー」「センパイ」と手書きで地面にペイントされた2台の織機械は、もう直せる技師が居ないほど古く、不備が出る度にラボの人々に愛を注がれては、また頑張っている。立派。

「ファイヤー」は、前に火事に遭った時に焼け残った子。
「センパイ」は、機械の中で最も「歴が長い」そう。センパーイ!

調子のいい一番シャトルちゃん
乾燥機の乾(いぬい)さん

各々の機械に名付けられた名前には、溢れる愛が感じられる。
モノづくりを共にする機械たちは、生まれてくる商品同様に愛を注がれて、働いていた。

「変」と「愛」が混ざるここは、やはり「Lab」、研究室や実験室の方がしっくりくる。

モデルも担う代表

何より私が感じたのは「tamaki niime」というブランドの軸、それを創るラボ内の個々の強さ、なのにブレることのない価値観。

実はね、一時期ブランディングを学んでたのよ。だからこれがいかに難しいか、少しだけど知ってる。

ラボの誰と何を話しても、「tamaki niime」への認識、信念、愛情というのが一貫している。これって本当にすごいこと。

移住して働いていた彼女は年下

この信念へ共鳴した「変態」達が、ラボに集い花を咲かせている。
そこに私のような世代が、確固とした憧れを形にすべく西脇の地へ集まる。

私なんてさぁ!
「小さな幸せが感じられればそれでいい」なんてそれっぽいこと言ってさぁ!
結局出来上がったのは「程よく頑張って結構サボる怠惰な家から出ない人」でーす!
結果noteが書けるような意欲も、信念も何もなくなってただ毎日を犬と過ごしてまーす!

昔はこれで良かったのかもしれないけど。
でもやっぱり、私はサンボマスターを聞いてアツくなって、信念持って頑張る方が人生楽しいんだよなって。
省エネっぽい毎日も程よく幸せだけど、それ以上でも以下でもなかったんだよなって、このラボを見て思った。

織物やアパレルに惹かれてここに赴くのもあるとは思うが、私としては「信念の持ち方」「燻っている日常」のような部分へ疑問視をする人に、一番刺さってしまう場所なのではないかと思う。つまり私ね!

それも非常に痛く、深く刺さる。痛いぞ〜

長居してしまった私を見送るラボの皆さんは、「運転気をつけてね」と笑いながら送り出してくれた。
新幹線で、ラボで過ごした時間を咀嚼する。

なんというか、燻っていた私は憧れてたんだろうなぁ。
信念を持ち、何かを目指して動くことへの憧れ。

デスクの一番近い鉢に、体験で断裁したストールを巻いて、一目惚れして買ったバックのタグは取らないでいる。
なぜなら一点物で、あのラボの誰かが付けてくれた名前が書いてあるから。

コバックちゃん

ラボでの時間、帰路、自分の家。持続するこの感情は、「工場見学」や「観光ツアー」ではきっと生まれない。

気合は入った。あとはやるだけじゃないかしら!

私へ ちっちゃくなってちゃダメだぞ。
いきいきとし、わくわくを追い求めなさいよ。

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こんなプログラムが並ぶ、ひょうごフィールドパビリオン。
そんで今、兵庫県が「あなたのまちのパビリオン」というコンテストを開催してるよ!
そしてくつざわ、審査員やってるよ!

どんなコンテスト?というと、みんなが見てきた世界のパビリオンを教えてね、というやつです。
まちの路地裏の木漏れ日が綺麗とか、近くの喫茶店のウィンナーコーヒーのホイップがデカ盛りすぎるとか、旅先の猫が可愛かったとか。そういうのでしか得られない栄養素があるよね。

note、X、Instagram、YouTube、どのSNSでも、写真や動画と一緒に投稿してね〜〜!
ハッシュタグなどの投稿方法、賞品などはこちらから⬇️

実はこのコンテストページのディレクションもしました。やる気出してていい感じだね!

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くつざわ
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