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【イギリスひとり旅】 Vol.4 街歩き Canterbury


あくる日、Sainsburyのスーパーで朝食を買って、カンタベリーの街を探検することにした。
古い石壁、斜めに傾いた作りの家、お菓子屋さんの鮮やかなショーウィンドウ、中古ゲーム屋さんのニンテンドーソフト、Yu-Gi-Ohカード、ポケカ、野外の果物市、大聖堂から聴こえてくる鐘の音、
澄んだ水路には水草がゆらめいていて、ときおり小舟が通っていく。カモメが鳴く朝、海が近い。

辺りを見ながら歩いていると、
ふと小さな教会が目に入る。
かなり古そうな石造りの建物
手前には緑の広場、真ん中に花壇が小さく添えられている。
なんとなく心惹かれて、奥のベンチに腰を下ろす。側の石塀には、枇杷のような果実がツルを張っている。
カンタベリーはイギリスの南東に位置していて、ヨーロッパ本土からキリスト教が入ってきた場所。石塀の質感に歴史の深さを思いやる。

ふと入った街外れのfootpathで、
木漏れ日が降り注ぐ美しい風景に出会う。
しばらく立ち止まって、揺れる光を眺めていた。


レンガ作りの赤い住宅街
家の窓際ひとつにも生活の風景が滲む。


聖オーガスティン修道院

あまり馴染みのないこの壊れかけの石造りの空間に、どうして心が動くのだろう
穏やかな草原にたんぽぽみたいな花が揺れて、そこに大きな歴史の証拠が佇んでる。


街中へ戻る道中、道沿いのカフェ

店員さんがまるで甥っ子を迎えるような愛情深い眼差しで対応してくれる。
賑やかな店内を通り抜けて、奥にあるテラス席に案内される。
赤茶色のレンガ作りの家々の只中に
ぽかんと青空が広がる席
注文を聞きにきた女の子はアルバイトなのか、後からきた店員さんが横から教えて、メモをとりながらオーダーを聞いてくれてる。
注文したサンドウィッチの具材がなくなったらしく、代わりにクランベリーに替えてもらった。カプチーノを手に、空を眺めながら自然と物思いに耽る。
生まれ育った田舎町から、このテラスまでの道のりを思い遣る。大昔なら考えもできないくらい遠くまで運び運ばれてきた。
この身体が今ここにあることが、今にも実感が霧散してしまいそうなこの旅の何よりの証拠で、言葉にならない愛おしさが溢れてくる。今、自分はここにいる。寝ても覚めてもイギリスにいる。
生きている自分のこのあたたかさが、何だか特別に思えた。

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