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料理と音楽、雑観

柚子を口に入れると高い「」がした。


貰った食事券で親とちょっと贅沢なランチをした。アンチパスタには、鱈と春菊と柚子の明太パスタ。

口に入れると、柚子が口の奥の方で香りを広げて、それぞれの具材が独立して感じられた。美味しかった。ふと立体的な空間イメージがよぎる。


音楽を集中して聴くとき、低音から高音まで、さまざまな楽器の音を同時に、しかも別々に聴くため、広がりをもった空間イメージを自然とすると思う。空間と言っても自分の中ではまだ漠然としていて、2次元あるいは1次元かもしれない。要は、音を分離して、頭の中でそれぞれ異なる場所に置いて整理するようなイメージをする。

それとよく似たことが味覚にも起こるのではないか。パスタの柚子は高い「音」に感じられた。パスタは低音側で、鱈と春菊はミドルの音域。明太子は広い音域だが、ぼやけた音像。もちろん他の味付けもあろう。

良い料理というのは、素材同士がそれぞれの味を邪魔せずに独立して主張できていると思うのだが、その「味の立体空間」の空いた音域を埋めるように、被らないように、広がりをもって素材と風味を配置すれば、整って完成度の高い料理になりはしないか。

また、味わう際も、組み合わさった素材の「協和」の空間イメージをしてみれば、いつもの食事に加えて、動きがあるような印象がして、さらに味わい深くなると思う。
共感覚みたいな体験をした。

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