その命を憂う
私には可愛い可愛い甥姪がいる。
帰省すれば一緒に遊んで、一緒にお風呂に入って、同じ布団で眠る。
親族の中で一番年下だった私にとっては未知の存在で、一緒にはしゃぎ過ぎて義姉や親から怒られるし、お風呂で頭を洗ってあげる時にはどれくらい力を入れていいのかわからないし、寝返りを打って押しつぶさないかが不安で寝不足になる。
彼等は大人にはない自由さを持っていて、周りの状況なんてお構いなしに嫌なものは嫌と言うし、怒っている理由も教えてくれないし、姉弟喧嘩が始まったかと思えば、瞬きする速さで仲直りをする。
その命が眩しい。
眩しくて、柔らかい。
「彼等が幸せな人生を終えること」が私の夢の一つである。
でも、私の夢は叶うだろうか。
この世界は今、ネガティブキャンペーンの大盤振る舞いだ。
SNSでの発言は意図せず誹謗中傷の火種になるし、ふとした会話の中では冗談交じりに卑猥な言葉をぶつけられることもあるし、偶然目に入った悲惨な事件のネットニュースに心を抉られることもある。
故意か過失か。誰かが誰かを傷つけ、その衝撃波でまた他の誰かが傷ついている。
悲しい連鎖が続く、光でさえ飲み込むブラックホールに似たこの世界で、あの眩しい命はその輝きを保ち続けられるのだろうか。
親でもない。地位も名誉も、お金もない。
彼等がその輝きを失いかけたとき、今の私にできることは1つもない。
彼等をこの世界から守るにはあまりにも非力すぎる私ができること。
彼等の20年先を生きる私が、未来のために出来ること。
本を書きたい。
彼等がその輝きを失いそうになった時に読みたいと思える本。
そして、また輝きを取り戻そうと思える本。
取り戻した輝きが連鎖して、ブラックホールじゃなく、掃除機に似た世界になってくれたら万々歳。
ゴミだけを吸い込む、みんなが生きやすいと思える世界に。
今ここが私の夢へのスタート地点。
この夢が叶うまで、一体どのくらい時間がかかるのだろう。
夢が叶って、この思いが彼等に届くその時まで、世界が彼等の輝きを飲み込んでしまいませんように。
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