橘いずみ「失格」(超ロングバージョン)
昭和43年12月11日
午後1時35分神戸で生まれた
3歳で平仮名が全部読めるようになって
何回も同じ本ばかり貪り読んでた
6歳で初めて書いた詩のタイトルが「おかあさん」
入選してみんなに褒められ得意になってた
10歳で眼鏡をかけ始めてとても嫌だった
友達が多いと言われてそれが自慢だった
英語を習い始めそして映画にも惹かれて
中2の夏ドキドキしながら見たのがスターウォーズ
クラブで疲れ果てて帰ればだらしないと叱られ
反抗期反抗期なんてため息つかれた15
もっとたくさん食べたら大人になれると言われ
もっとたくさん食べただけど大人になれない
なぜそんなに怯えた目をして周りに見つめる
なぜそんなに怯えた目をして周りに歯向かう
なぜそんなに怯えた目をして愛想笑いする
なぜそんなに怯えた目をしてうなずいてばかり
なぜそんなに怯えた目をして街を歩いてる
なぜそんなに怯えた目をして部屋に閉じこもる
なぜそんなに怯えた目をして街を歩いてる
なぜそんなに怯えた目をして夜に溺れてる
なぜそんなに怯えた目をして相手を見つめる
なぜそんなに怯えた目をして自分を見つめる
あなたは失格!そうはっきり言われたい
生きる資格がないなんて憧れてた生き方
自分の言いたいことを私は何も言わない
自分のやりたいことを私は何もできない
自分の為に泣いても人の為には泣けない
主義・主張を叫んで外を歩く勇気なんかない
ひねもすベッドに寝てるのは病人か赤ん坊
何もかもが嫌になるにはまだまだ若すぎる
誰かの喋る言葉で心なんて弾まない
明るく元気だけが取り柄の女にはなれない
他人の視線ばかり気にしてる人を認めない
社長の意見は必ずしも正しく思えない
月夜にいつも女はキスを待ってる訳じゃない
安いベッドは軋む音がうるさくて気が滅入る
愛してないのに抱かれ他の人を夢見てる
パチンと弾けて落ちたピンクのバラの花びら
一番大切なものはこの貧欲な私
一番厄介なのもそうデタラメな私
好きな人に他に守るものあっても構わない
だけどひとり夜の渋谷で待つのは好きじゃない
梅田 なんば 心斎橋 元町 西ノ宮
あんなに好きだった街ももうとっくに忘れた
チャカ・カーンを気取って歌ってた
“Whatcha gonna do for me”
意味も知らずに涙を流た
“Whatcha gonna do for me”
沖縄にも住んだことがあると自慢気に話す
強い日差しが残したものは顔中のソバカス
傷ついた傷つけられたと騒いで憂さ晴らし
失恋した友達慰めどこかホッとしてる
あなたは失格! そうはっきり言われたい
生きる資格がないなんて憧れてた生き方
あぁ 赤い夕焼けの町で小さな体を丸めて
叱られても 恥を重ねても
まっすぐ歩いていたのに
眠れずにテレビをつけ煙草を吸えばやるせない
ひどい仕打ちに泣いたとしても夜はゲラゲラテレビ漬け
趣味は何ですかと聞かれて旅行などと答え
外国にも何度かなんて格好つけて見せる
姑息な笑顔浮かべて指先を噛んでいたい
約束を踏み付けても粋な女気取りたい
車にはねられた人を見過ごしたことがあるかい ?
ふしあわせな人を見て笑ったことがないかい ?
父親に若い女いても私は構わない
母親に別の許婚の話を聞きたい
もっときれいになってもっと上手に遊びたい
もっとまじめになってもっとたくさん学びたい
たったこれっぽっちの生きざまをひとり振り返り
四の五の理屈を言ってる私を愛したい
あなたは失格!そうはっきり言われたい
生きる資格がないなんて憧れてた生き方
平成17年12月11日
結婚した旦那がクズだと初めから知ってた
そんな旦那が私にふさわしい男だとも思った
旦那に若い女いても私は構わない
不倫相手が自殺未遂しても私は気にしない
結婚とか愛とか純潔とか私には分からない
清廉潔白な夫なら私は自由に泳げない
理解されなくてもそれが私の素直な生き方
そんな旦那がネットで叩かれ
“Whatcha gonna do for me”
意味も分からずネットでme too
“Whatcha gonna do for me”
誰かの喋る言葉で心なんて弾まない
何がよくて何がダメだったか私は分からない
眠れずにテレビをつけ煙草を吸えばやるせない
テレビが言うひどい仕打ちって一体何の話
奥様の気持ちを考えてだなんてなんて余計な事
パチンと弾けて落ちたピンクのバラの花びら
あなたは失格! そうはっきり言われたい
生きる資格がないなんて憧れてた生き方
あぁ 赤い夕焼けの町で小さな体を丸めて
叱られても 恥を重ねても
まっすぐ歩いていたのに