休職からの東北自転車旅行記(前編)
2024.07.08(月)
1日目、新潟港→秋田港へ
•旅立、きっかけ
新日本海フェリー新潟港22時30分発秋田経由苫小牧行、梅雨前線が新潟から東北にかけて横断している中、自転車共々夜空の雨に打たれながらこの旅は始まった。
佐渡汽船へはロングライド、オータムライドなどで何度も乗船しているが、それ以外の船は小型の観光用遊覧船かボートくらいなもので、ここまで大型の船に乗り込むのも、北東北の地へ赴くのも人生初のことだった。
自分は何故この梅雨時期に東北へと向かうのだろう。
今、自分は仕事をしていない。
今年の3月、仕事に対し限界を感じ、心療内科を受診した。
結果鬱病と診断され、そこから3か月以上休職状態だ。
休職する前は心と体が悲鳴を上げていて、毎日頭から仕事のことが片時も離れず何をするにも前向きになれず、まともに仕事が出来る状態でもないのに謎の使命感・義務感と職場・会社から逃げられない、行かなければいけないという感情に支配されていて自分ではもうどうにもならない状況に追い込まれていたと思う。
結果的に休職することになったのはそんな状態から脱却したかった、何とか逃げ出したかったという自分のSOSに対して素直になれたことが大きいと思う。加えて妻の「休んで」という声にも助けられたと思う。
休職期間がもう少しで空ける予定の中、復職するか、退職するか未だ決断できていない。
そんな中、なぜ今回東北へ自転車旅行をすることになったのか。
それは今後どうするか旅をしながら自分を見つめ直すためでもあるし、中学生の頃から一度は訪れたいと思っていた「斜陽館」へ行ってみたいという思いもあったけれど、実際のところは自分でもよくわからない。
せっかくの休み期間だからふらりと一人旅に出たかっただけかもしれない。
・計画、準備
今回の旅行は7月8日に自宅から新潟港まで移動し新日本海フェリーへ乗船して一泊。
9日は秋田港で降りた後国道101号を北上し青森県五所川原市を目指す。
五所川原で一泊し、10日に目的地である「斜陽館」へ行き見学、そのあとは弘前へ行き一泊。
11日は輪行で一気に新潟まで戻るという7/8~11の3泊4日の旅。
行きは一度は乗ってみたかった新日本海フェリーに乗り、帰りはこちらも一度は乗りたかった特急いなほで帰る予定だ。
予定していた期間は新潟、東北付近に梅雨前線がかかり、ほぼ終始雨模様になりそうというのが懸念する点であったが、ワークマンで雨具も新調し旅行準備を進めて今日に至る。
・出発から予定変更
出発日である8日は予報通り朝から大雨となり、早速この旅に暗雲が立ち込める。
何故こんな天気に、大した目的意識も無いのに旅に出るのだろう。
そんな気持ちの中、とりあえず自転車の点検等最終確認を済ませたのが午前中。
午後からも一向に止む気配が無い雨の中、雨雲レーダーを見て、新潟市内はここよりは小雨そうだということがわかり、予定変更、新潟空港まで自転車を載せて移動。新潟空港からフェリーターミナルまで自走してフェリーに乗り込むことにする。
(新日本海フェリーターミナルには数日間車を停める場所が無く、近くのパーキングも割高なところが多い中、新潟空港のパーキングなら1日800円で固定で空きスペースも十分というのをフェリー利用者の口コミで見たのだ)
自宅から自転車で出発するのは諦めたけれど、スタート直後から雨に当たり続ける事態は避けたので結果オーライとする。
そんなわけで夕方頃車で新潟空港まで移動し、そこで自転車を組み立ててフェリー乗り場まで来たわけである
・ターミナル到着
新日本海フェリーターミナルに来たのは初めてで、訪れたのが日暮時だったこともあり少し迷うがなんとか無事到着。
乗船まで時間があるのだが、既に駐車場には乗り込むであろうトラック、乗用車が多数、そして数台のバイク、自転車はおそらく自分の一台だけ。
自転車を駐輪場へ停め、ひとまず夕食にとフェリー乗り場内にある「レストラン シーブリーズ」に入る。
少し広めの店内はカウンター席とテーブル席が何卓か、お客さんはまばら。
入店した際従業員の姿が見えなかったが、少しすると人の良さそうな店員さんが奥から出てきて、カウンター席へ案内される。
レストランのメニューはトーストセットやおにぎりセットといった軽食からとんかつ定食、から揚げ定食などの定食系、ラーメン・そばやチャーハン、カレーと幅広いメニュー。
お店の一押しはそばとたれカツ丼がセットになった「にいがたセット」らしいが、自分はチャーハンを注文する。
正直港内の食堂料理だから大して期待せずに頼んだのだが、届いたチャーハンは見た目もよく、チャーハン・味噌汁とも絶品でいい意味で期待を裏切られる。
レストランシーブリーズ、覚えたぜ。
※帰宅後グーグルで見たら☆4.3の高評価店だった。侮れない
食後、フェリー到着・乗船まではまだ大分時間があったためターミナル内外を散策。
21時ちょっと前くらいに新潟港へフェリーが到着し、下船していく車、乗客に乗船準備にと港内がにわかに活気付く。
乗船手続きのため、自転車を駐輪場から指示に従い移動。
乗船整理のオジさんと少し話し込んでみたけれど、今回自転車で乗り込むのは自分ひとり、秋田で降りるのも自分ひとりらしい。
車、バイクは大体北海道まで行く方が多く、自転車は秋田で降りる方が多いらしい。
待ち時間の間売店などを覗いたのち、予定通り22時10分に乗船、22時30分に出航。
佐渡汽船と異なり輪行/完成車どちらも同じ1,800円。
もちろん完成車のまま乗り込み船内の隅に固定してもらう。
・船内へ
甲板に自転車を固定してもらった後、階段で3階の客室フロアまで上がる。
船内は3階から5階まで吹抜けになっており解放感がある。
謎のオブジェとイルミネーションで船内はとても綺麗に感じる。
船内に入り自室へ荷物を置いた後、すぐに大浴場に入る。
大浴場内はかなり広く、洗い場も多い。
お風呂上りに軽くお酒を飲んで早めに就寝。
船が大きいからか揺れも小さくよく眠れる。
今回選んだ客室はツーリストA(下から3番目の客室)だったけれど、同フロアに他のお客様もおらず快適。
一日目を終える。
2024.07.09(火)
2日目、秋田港→青森 五所川原市へ
・秋田港到着
7月9日5時、予定より5分ほど早く秋田港へ到着したらいらっくから自転車と共に下船し秋田港フェリーターミナルへ入る。
現地は大雨。
どうしたものかと考えても仕方がないためターミナル内のレストランでモーニングを食す。
新日本海フェリーは食に力を入れているのかここのモーニングもおいしかった。
食事を取りながら雨雲レーダーを確認。
レーダーを見る限りは雨がひどいのは秋田市周辺までで、男鹿半島付近まで北上すれば大分雨足も弱まるだろうと判断し、覚悟を決めて出発。
自分でも不思議だが、仕事のことはクヨクヨしているくせにこういうことは思い切りがいいのだ。
・大雨の中出発(→潟上市)
今日のルートは秋田港を出発し県道56号、その後国道101号に合流したら後はひたすら101号を走り、日本海沿岸沿いに進んで青森・五所川原市を目指す。
秋田港を出発したものの、道路も一部冠水していたのか自転車が半分埋まるくらいの大雨。
なんとか必死に漕ぎ進める。
まるで泳いでいる感覚。
足元は水没して雨具がほぼ意味を成していない感じだったが、上半身は防水されていて多少はましといったところ。
後でニュースを確認したら秋田市周辺はこの日大雨警報が出ており、市内のあちこちで雨による被害もあったらしい、よく走れたな・・・。
雨の中なんとか漕ぎ進めて潟上市に入った頃、読み通り雨足も弱くなってきたため道中で見かけた「道の駅てんのう」で少し雨宿りと荷物整理。
まだ朝も早いため道の駅内は無人。
ベンチで荷物の確認、整理をさせてもらう。
荷物はフロントバックの中に水が溜まっていた以外大きな浸水被害もなかったので一安心、体とバック内をタオルで拭いて少しサッパリしたところで再出発。
・巨大なまはげと記念撮影(→男鹿市)
道の駅てんのうを出発して数キロ進むと、道路脇に巨大ななまはげ像が見えてきた。
ちょうど潟上市と男鹿市の境目、男鹿市の入口にある「男鹿総合観光案内所」にこの巨大なまはげ像は設置されているみたい。
なまはげ行事は主に男鹿半島全域で行われている伝統行事で、なまはげは男鹿市を代表するスター、なので巨大なまはげはここだけでなく門前地区というところと、男鹿温泉郷入口の二箇所にも設置されているらしい。
いつか他のなまはげも見てみたいぜ、温泉も気になるし。
雨は大分小降りになってきていたのでここでなまはげと共に記念撮影。
大迫力のなまはげ二体に囲まれて撮影、パシャリ。
いい思い出の一枚が撮れたと満足し更に北を目指す。
・県境でお昼(→八峰町)
男鹿市で巨大なまはげと記念写真を撮った後、不安定な天候の中三種町→能代市→八峰町と順調に漕ぎ進めていく。
八峰町にある「道の駅みねはま」で休憩し水分補給。
気温はそこまで高くならないが湿度が高く走行中かなり蒸す。
道の駅内には狸夫婦の置物と五能線のポスター。
狸は何かゆかりがあるのかしらん。
能代から五所川原市まで通じている五能線、この線路にほぼ沿う形で101号は伸びており、日本海側の景色を見ながら走れるのが今回の旅の魅力のひとつだ。
天候が優れないため景色の魅力は半減、白神山地も雲の中だが海岸線沿いの起伏が少なく走りやすい道を快走でき、101号はよいコースだとここまで走ってきて思う。
みねはまで少し休憩を取った後再出発してしばらく、白神山地の脇を通り青森県へ抜けるため走っている途中、再び雨が強く降り出してきた。
どこかで雨宿りでもできないかと思いながら走っていると「ハタハタ館」という温泉施設が見えたため、ここの軒先へ少し避難。
今回雨宿りのため建物内へは入らなかったが、このハタハタ館、日帰り温泉だけでなく宿泊もでき、料理もおいしい有名な場所だったらしく、後日気になって情報を調べた際に中まで入らなかったことを少し後悔したのは後の話。
とはいえこの時全身雨具でずぶ濡れ状態だったのであまり建物内に入るのにふさわしい状態だったとは言えない気がする。
いつか再訪しよう。
雨が弱まったのを見計らって再出発し、「道の駅はちもり お殿水」へ到着したのが11時過ぎ、青森県はもう目と鼻の先というところでお昼。
ここはお殿水という湧水があり、その湧水を使った料理がおいしいらしい。
道の駅内にある「峠の茶屋 お殿水」でお殿水ラーメンをいただく。
ラーメンはあっさり塩ラーメンにアサリが沢山。
シンプルながらも水がいいからなのかおいしくいただく。
店内はお客さんがちらほら、店員さんやお客さんの間で東北の言葉が飛び交っており旅先にいることを感じる。
ラーメンを食べ終え、小雨の中青森へと再出発する。
・青森県突入(→青森県深浦町)
「道の駅はちもり」を出発してすぐ、青森県深浦町に入る。この時点で走行距離は100キロ近く、ちょうど目的地まで半分程度の距離を進んだことになる。
事前にルートだけは地図で確認していたけれど、雨の中無事青森入りできただけでも少し感動。
青森に入った後は雨も止み、大分余裕が出てきたのか途中途中写真を取りながら101号をひたすら走る。
深浦町に入ってからひたすら101号を走り海岸線を走ること約2時間、「道の駅ふかうら」に到着。
深浦町は青森県内でも広い町らしく、結構走っているはずなのだけれどなかなか深浦町を抜けない。
いか焼きが名物なのか、道の駅の看板に大きくイカが描かれており、道の駅前にもイカ焼きの屋台があったのだけれど、一枚1,000円の値段を見て躊躇しているうちに本日分が終了してしまった、残念。
代わりに道の駅内でバニラシェイクを買い、少し涼をとりつつ再出発。
青森に入ってから天候はどんどん回復していきすっかり快晴に。
気持ちいい気候の中ぐんぐん漕ぎ進み千畳敷海岸に到着。
千畳敷という地名はあちこちにあるけれど、ここは海沿いに岩棚が広大に続いており、その昔殿様がこの岩棚に畳を敷いて大宴会をしたことかららしい。
海岸の奇岩群を見て少し佐渡や笹川流れを思い出しつつ進む。
長い海岸線、深浦町を抜け鰺ヶ沢町を経由しつがる市の「道の駅もりた」で休憩。
この時点で時刻は16時前くらい、目的の五所川原市まであと10キロちょいなので自分の足では30分程度で今日の目的地に到着する。
道の駅もりたを出発し約30分、五所川原市に入り本日の目的地である「ホテルサンルート五所川原」に到着。
本日走行距離約200キロ。
秋田・青森を今回初めて走ったけれど、国道101号線は車通りも多くなく、信号も少なくアップダウンもあまり無いためサイクリングには最適なルートだと思った。
ホテルサンルートへ到着しチェックイン。
自転車はホテル側のご厚意でホテル内に保管してもらえることに。
あ、ありがてぇ。
ホテルは結婚式場もある昔ながらのシティホテルという感じで共用部も客室内もとても綺麗。
ホテル室内に入り着替えと洗濯を済ませて一息ついた後、ホテル最上階にあるレストランで夕食をいただく。
夕食は天ぷら定食とビール。
天ぷらのエビの風味が強く、新鮮さを感じた。
青森も海に囲まれているからかホテルの食事はどれもおいしかったが特にエビの風味が今も印象に残っている。
夕食後はしばらくMtGアリーナをしてデイリー消化した後早めに休むことに。
明日は金木町にある太宰治記念館に向かう。
後編へ続く
本来ならこのまま3日目を書こうと思ったのだが、大分分量が多くなってきたため前後編に分け、一旦旅の2日目までで記事を上げることにする。
※本当は創作大賞に応募しようとして書き始めたのが全然間に合わなかったのは内緒
前回初めてnoteにブログを上げたっきり大分放置してしまっていたが、その間色々あり今回の旅に至るのだが、その辺の話もおいおい別で書きたいと思いつつ、まずは東北旅行前編を掲載する。
続きは近日中に載せるつもりなので、気長に待っていてもらえると助かります。
ここまで長時間お付き合い頂きありがとうございました。
※後編書きました、下に貼っておきますのでよろしければお読みください。
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