「武器になる特許」を創り出すのに役立つ講座(1)~発明塾式「特許戦略」の基礎 解説講座
企業内「発明塾」をご依頼いただく目的の一つとして、
「今後の新規事業の礎(いしづえ)になる、手ごわい特許を生み出したい」
とおっしゃる方が、おられます。
主に、大手企業の知財部の方ですが、新規事業開発部門の方の場合もあります。また、最近では、
「スタートアップ企業」
の CEO の方や、投資家の方からお声掛けいただく例も出てきました。
「知を財にして、事業の武器にするのが、知財戦略」
と言い続けてきましたが、すこし、伝わりつつあるのかもしれません。
(ご依頼は、多くはありません)
上記で取りあげている クアルコム は、通信業界を知財で支配したといっても過言ではない、巧みな知財戦略で有名な企業です。
一方で、通信業界は
「標準化」
が大きく絡んでくる、やや特殊な世界であるのも事実であり、化学メーカーさんをはじめとした、部材系の企業からすると、すぐに参考にならない、というか、話を聞いてもイメージが湧かない、という声があります。
(事業内容によっては、十分参考になると思いますが・・・)
いずれにしても、やや高度な戦略であることは事実でしょう。
「それ以前」
のところを、きちんと知りたい、徹底して行いたい、というご依頼があります。
その際、紹介しているのが、
「3M」(スリーエム)
の特許戦略です。古典的でわかりやすい戦略で、一部製品による市場独占に成功している企業です。
特許戦略の基礎から、
「3Mの手ごわい特許を読み解き、学ぶ」
ところまでを網羅したオンライン教材(eラーニング講座)が、以下です。
特に、起業する方やスタートアップ系の方の中には
「特許を武器にしたい」
「武器になる特許を取りたい」
「特許で勝ちたい」
「強い特許を取りたい」
色々なことをおっしゃる方がおられますが、そもそも、
「ゲームのルール」(特許制度)
を理解しておられない、という例もあります。
それで勝てたら、まぐれです。
「勝つべくして勝つ」
に必要なことを、網羅した講座が、今回紹介する講座です。
① ゲームのルール(特許制度の要所、つまり、勝敗を分ける点を知る)
② 定石(特許戦略の基礎理論、つまり、戦い方の基礎を理解する)
③ 参考になる成功事例(3Mの特許、つまり、競合を排除し続けている手ごわい特許を読む)
を、一つの講座にまとめました。
贅沢ですね(笑
ゲームのルール と 定石 については、前半で、簡単な事例でしっかり学んでいただけます。初学者でも大丈夫です。
そして、3Mの特許を読んでいただくところが、
「最大の山場」
です。教材内の後半、第5章と第7章の部分です。
実は、e発明塾(オンライン教材)には、その名の通り
「強い特許の作り方」
という講座があります。今回紹介する講座を無事終えられたら、上記に進んでいただくと、完璧だと思っています。「強い特許の作り方」では、手ごわい特許や、参考になる特許を複数紹介し、より理解を深めていただく形式にしています。
(今回は、紹介を割愛します)
3Mの特許の何がすごいか。
過去に、発明塾で分析したことがあります。
その際のレポートの一部から、一部内容を抜粋して、その
「迫力」
をお伝えしたいと思います。凄すぎて、中身はここではお伝えしきれません(笑
ですので、迫力をお伝えするだけにさせてください。
ちなみに、そのレポートを最近読んだ方から、以下のコメントをもらいました。その方には、以前一度、3M特許についてお話はしたのですが、改めてレポートを読んでいただき、その
「すごさ」
「凄み」
「迫力」
を感じたそうです。
● 3Mの特許の何がすごいか
まずは、コメントをそのまま紹介します。
(一部、個人情報を含む部分は割愛/改変)
==以下、コメント
以前、請求項の書き方など教えて頂いた際に、3Mの特許をご紹介いただいた際は正直、あまりピンときてませんでした。
読み込むと、出願後の戦い方にもこれだけ工夫の余地があり、考えてる企業は執念深く権利を獲りに来ているのだな、というのがよく理解できました。
「考えうる内容は網羅的に実施例に記載し、拒絶理由の根拠と論理を把握しながら権利化を進める」
という戦い方は、日々の発明の権利化でもそのまま使える戦術と感じたので、取り入れたいです。
==コメント、以上
クアルコム の高度な戦略と比べると、
「戦術」
ぽく感じたようですが、3Mは、その場しのぎでやっているわけではなく、もともと予定したシナリオに沿って権利化を進めているようで、
「戦略」
に従った戦い方だと、私は理解しています。
いずれにせよ、上のコメントにある通り、
「じっくり読まずに、解説だけ聞いても、ピンとこない」
もののようで、実物をじっくり読んでいただかないと、伝わらないと思いますが・・・。
そのための講座が、今回紹介する講座です。
繰り返しですが、第5章と第7章で、じっくり読み解いていただきます。
第7章が チャレンジ編 になっているのは、開発当時の名残で、多くの企業の知財部様が
「ここまでは知らなくてもいいだろう」
「知っておいてほしいけど、絶対勉強しろとは言えない」
という事情で、すこしトーンを落としています。発明塾では、大学生すべてに理解させていますので、今や
「新しいことにチャレンジする人」
(研究・開発、新規事業、起業、スタートアップ経営に関わる人)
は、全員知っておくべき内容だと思います。
● 3Mの特許を分析したレポートからの抜粋
ちなみに、このレポートを作成してくれたのは、当時大学2年生の塾生さんです。さらっと紹介しておきます。
==以下、抜粋引用
1.結論
特に「分割出願」を多用し、広い範囲の権利化を「どん欲に、繰り返し試みる」ことが、3M社の一連の特許出願および権利化手法であると、我々は結論づけた。以下に、その特徴を4つに分けて整理する。
【3M社の出願・権利化手法の特徴】
・特徴1) 分割を前提として、原出願の請求項と実施例を構成する
原出願で、極端に広く、かつ、多種のパラメータを含みうる曖昧な概念を、請求項としている。また、原出願では実施例の数とパラメータ/数値データが多い。
⇒拒絶理由の根拠と論理を把握しながら、 分割出願により補正対応する時間と機会を増やし、重複的かつ広く権利化する 。
* 特徴1の根拠)「原出願の請求項と実施例」
・特徴2) 分割出願で観点を変える
分割出願の際に、「パラメータの種類」と「粘着剤などのモノ、製造方法、用途等のいずれを権利化の対象にするか」を原出願での曖昧な概念から、複数の具体的な概念に変更している。
⇒拒絶理由に対し、出願内容を単純に限定(減縮)して権利化を図るのではなく、分割出願により、審査官の指摘を迂回できる権利取得を狙う。
⇒分割して出願した特許群「全体」を利用して、重複的かつ幅広い権利取得を目指す。
⇒拒絶理由に反論せず、別出願で対応することで、限定的に解釈される要因となる追加情報を出さずに、権利化を進められる。「包帯禁反言」対策としても有効と思われる。
* 特徴2の根拠)「出願①②③に対する拒絶理由通知・分割の時期と内容」
・特徴3) 分割で権利範囲を広げる
特定のパラメータについて、ある数値範囲で権利確定した後に、「さらに広い数値範囲」の権利化を追及している。
⇒モノから製造法へ権利対象を変える等の手法を組み合わせ、どん欲に権利を取り続ける。
⇒「競合他社へ脅威を与える」効果も有る。
* 特徴3の根拠)「③成立特許の権利範囲と、④⑤出願の補正内容」
特徴4) 「言葉/パラメータの定義の曖昧さ」を利用する
上記一連の手法は、特に化学分野に多い「パラメータ特許」と組み合わせることにより、絶大な効果を発揮する。
⇒言葉を変更し、どん欲に権利を追及する。また、原出願で請求項を広く曖昧に記載すること、多様な実施例を記載することが、その準備となる。
⇒パラメータはいくらでも定義でき、技術的範囲が曖昧である。
⇒技術的範囲があいまいな特許は、権利の安定性に問題があるが、脅威を与えるには十分と割り切っているものと思われる。
* 特徴4の根拠)「出願③④⑤における多様な表現と、分割・補正の繰り返し」
==抜粋引用、以上
わけわからないですね(笑
これを、懇切丁寧に、わかりやすく解説している講座が、以下の講座です。
オンライン教材(eラーニング講座)ですので、納得いくまで、じっくりと受講いただけます。また、ぜひそうしていただきたい講座です。
なお、e発明塾講座の特徴や仕組みについては、以下も参照下さい。
今後も、企業内「発明塾」サービスで実際に利用している e発明塾 の各講座について、目的別に、順次紹介していきます。
弊社サービスをもっと知りたい、という方は、メルマガもご活用ください
楠浦 拝