「情報」から「戦略」を知り、戦略を理解して情報を読み解く~「知財戦略」の定石を理解しているか?
昨日、以下の記事を書きました。
「強い特許」は、かくして作られる~特許の作り方を知らずして、特許は読めない
内容は、2月に行った、個人投資家の方(投資アナリストの卵の方などが参加)向けの、特許情報の読み方セミナーでお話した
「問題提起」
の、一部抜粋です。
セミナーでは、もっとざっくばらんというか
「赤裸々」
に、経営戦略・事業戦略・技術戦略に沿って、特許がどのように作られるかをお話しています。参加者の方には
「絶賛」
いただきましたので、近々、動画講座にいたします。
動画講座は、
「特許・知財についてほとんど知らない、知財・特許業界以外の方」
向けに、あえて
「誤解が生じることを恐れず」
特許が作られる仕組み、理由、ロジックなどを、わかりやすく解説しています。知財業界の方は、無視するか、ご笑覧くださいませ(笑
当日オブザーバー参加いただいた、知財業界の専門家の方からは、そんなこと言っちゃっていいの?言い過ぎじゃないの?というようなツッコミも入っておりました・・・。
「言わなきゃ、わからない」
ことが、弊社の過去セミナー(技術者の方向けの特許・知財セミナー)で判明しております。
前置きが長くなりました。
当日お話ししたことを、
「特許製造工程」
に沿って整理すると、以下の3つに分かれます。
① 新たな事業をどう産み出し、保護していくか、という「事業戦略」レベルの要請から生まれる作業
② 発明を、「事業に役立つ権利」に生まれ変わらせるために必要な作業
③ 出願した特許を、広い権利範囲を維持したまま、確実に権利化する、あるいは、権利化せずに「他社への影響力を確保」するために必要な作業
本日取り上げたいのは、①のお話です。
事業戦略のレベルから考えると、
「現場の技術者が思いついたこと ”だけ” 」
を権利化していては、不十分です。
特許を
「使わせない」
ツールとして考えるなら、
「他社が、どう迂回してくるか」
「他社に取られると困る権利は何か」
を、
「先回り」
して考え、権利取得を行う必要があるからです。
特許を
「使わせる」
ツールとして考える場合、例えば、
「アライアンス」
の武器にするのであれば、考えるべきは
「自社は手掛けないけど、相手が手掛けるであろう事業」
から逆算して、権利をデザインし、発明を生み出すことになります。
(これは、知財業界では常識で、各企業で日常的に行われています)
クアルコムのように、
「自社技術を、素早く普及させるため」
に、知財を戦略的に取得し活用してくる企業もあります。
「知財戦略」は「世の中を巻き取る」ためのもの~クアルコムの方にお話を聞いて感じたこと
また、自社の
「ビジネスモデル上の肝」
になる部分については、
「特に念入りに、特許取得を行う」
必要があります。
特許情報を活用したいなら、特許情報を読みながら
「その企業の知財戦略を推定」
し、さらに
「知財戦略に沿って、特許情報を読みこむ」
という作業を繰り返す必要があります。
ここで
「知財戦略の定石」
を知っているかどうか、が大切になります。知識ゼロで、戦略が推定できるほど甘くありません。逆に、過去の
「有名な打ち手」
を引き出しに入れておき、それと比較して考えていくと、楽です。
そもそも
「戦略上、重要でない特許を分析しても、企業分析の作業としては、無駄が多い」
ですよね。
(おー、こんなこと考えているのかー・・・いやそれ、クロスライセンス目的だと思いますよ、みたいな会話になることが、企業内発明塾でも、よくあるのです、なかなか話が通じない・・・)
弊社のオンライン教材(eラーニング講座)にも、知財戦略の定石を扱った講座があります。
「事業戦略と知財戦略の結びつき」
を理解したい方は、まずここから入ってください。細かい特許制度の話などは、後でよいです。
「全体観」
無しに、法制度の勉強しても
「疲れるだけ」
です。
(僕がそういうタイプです)
もう少し、戦術寄りの話が必要な場合、次に、以下講座をご利用ください。
一つひとつの特許を
「事業に役立つものにする」
という視点と、
「事業に役立つ特許を、束で取る」(特許ポートフォリオ、などと言います)
視点の、両方をカバーしています。
上記2つを理解すれば、
「知財戦略」
「特許戦略」
を踏まえた特許情報活用が、可能になります。
楠浦 拝
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