ハスカップエキスの腸管病原性大腸菌に対する新規抗細菌効果

厚真産ハスカップエキスの腸管病原性大腸菌に対する新規抗細菌効果

  2018年 北海道薬学大会 

○中村峰夫1)、牧野利明2)、南 正明3) 1)中村薬局、2)名市大院薬、3)名市大院医

ハスカップLonicera caerulea var. emphyllocalyx は、果実を食用とする低木である。我々は第64回北海道薬学大会で、厚真産ハスカップ果実エキスがA群連鎖球菌に対してin vitroで増殖抑制効果を有することを報告した。腸管病原性大腸菌は急性胃腸炎をおこす病原細菌であり、近年では薬剤耐性菌の増加から抗生物質以外の治療の選択肢が重要な検討課題となっている。そこで本研究では、厚真産ハスカップの果実MeOH抽出エキスの腸管病原性大腸菌に対するin vitroでの抗細菌効果を評価した。

HPLC分析の結果、本研究で使用したハスカップエキスは、cyanidin-3-O-glucosideを1.1 (w/w)%含んでいた。このエキスは濃度依存的に腸管病原性大腸菌の有意な増殖抑制を示したほか、細菌運動能やバイオフィルム形成能の有意な抑制作用を示した。これらの作用は、ハスカップ果実エキスによる腸管病原性大腸菌の鞭毛形成抑制によることが認められた。

本研究の結果、ハスカップの果実には、腸管病原性大腸菌に対しても、細菌の増殖抑制だけでなく細菌運動能やバイオフィルム形成能の抑制等の新たな抗細菌効果を持つことが見いだされた。


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