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カロナール(アセトアミノフェン製剤)について③

前回に続き、カロナール錠(アセトアミノフェン)についてまとめていきたいと思います。今回は副作用についてです。
小児から高齢者まで使用可能なカロナール錠(アセトアミノフェン)ですが、使い方を間違えると重大な被害をもたらすことがあります。
より安全に使用していただく為、注意喚起をしていきたいと思います。
お薬としては、怖い話になりますが、実際に調べてみると
相当量の薬を飲まないと有害事象は起きないようなのです。
通常量で使う分にはとても安全です。という事をお伝えする為に紹介したいと思います。

カロナール錠の副作用

安全なお薬と言われているカロナール錠(アセトアミノフェン)ですが
お薬ですので当然副作用が存在します。

重大な副作用(頻度不明)
・ショック、アナフィラキシー
・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
・急性汎発性発疹性膿疱症
・喘息発作の誘発
・劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
・顆粒球減少症
・間質性肺炎
・間質性腎炎、急性腎障害
・薬剤性過敏症症候群

その他の副作用(頻度不明)
・血液関係:チアノーゼ、血小板減少、血小板機能低下
・消化器:悪心・嘔吐、食欲不振
・その他:敏症

カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500添付文証(一部改変)

カロナール錠の副作用は以上です。
比較の為、鎮痛剤で有名なロキソニンについても見てみたいと思います。

重大な副作用(頻度不明)
・ショック・アナフィラキシー
・無顆粒球症
・白血球減少
・溶血性貧血
・再生不良性貧血
・血小板減少
・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
・多形紅斑
・急性汎発性発疹性膿疱症
・急性腎障害
・ネフローゼ症候群
・間質性腎炎
・うっ血性心不全
・間質性肺炎
・消化性潰瘍、消化管出血
・消化管穿孔
・小腸・大腸の狭窄・閉塞
・劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
・喘息発作
・無菌性髄膜炎
・横紋筋融解症

その他の副作用(頻度不明)
【0.1~2%未満】
発疹、そう痒感腹痛、胃部不快感、食欲不振、悪心、下痢、便秘、胸やけ、口内炎、腹部膨満、口渇、眠気、AST上昇、ALT上昇、蛋白尿、浮腫、顔面熱感
【0.1未満】
嘔吐、動悸、血圧上昇、頭痛、めまい、しびれ、好酸球増多、ALP上昇
【頻度不明】
発熱、蕁麻疹、消化性潰瘍  、小腸・大腸の潰瘍  、消化不良、貧血、白血球減少、血小板減少、血尿、排尿困難、尿量減少、胸痛、倦怠感、発汗

ロキソニン錠60㎎添付文章一部改変

このような感じで、カロナール錠にも副作用はありますが、ロキソニン錠と比較すると副作用の種類はとても少ないことがわかります。
だからと言って、自己判断で服用していると、服用量や体質によっては重大な副作用が起きる可能性があるので、医師から指示された量を守って服用しましょう。

カロナール錠の毒性

カロナール錠(アセトアミノフェン)にも中毒症状が存在します。
しかし、中毒領域まで薬を服用するとなると推奨量の数倍のアセトアミノフェンを摂取する必要があります。
例えば、体重約70Kgの人の場合、一度の過剰摂取で毒性作用が起こるには、325㎎の錠剤を少なくとも30錠服用する必要があります。
(ちなみに致死量は40倍以上と言われているようです)
摂取量が非常に多い場合、症状は4段階で進行していくようです。

・第1期(最初の数時間後)では、嘔吐がみられることがありますが、具合が悪いようにはみえません。第1期には多くの患者で症状がみられません。

第2期(24~72時間後)には、吐き気、嘔吐、腹痛が起きることがあります。この段階では、血液検査で肝臓の機能の異常が明らかになります。

第3期(3~4日後)では嘔吐がひどくなります。検査では肝機能が低下していることが分かり、 黄疸(眼や皮膚が黄色くなること)や出血が生じます。ときに 腎不全に陥ったり、膵臓が炎症を起こしたりします(膵炎)。

第4期(5日目以降)では、回復がみられる患者もいますが、肝不全が生じるか、しばしば他の臓器も機能不全に陥って死に至ることもあります。

MSDマニュアル家庭版より引用

少量のカロナール錠でも通常量以上を服用し続けていると、黄疸や出血、肝機能異常を起こすことがあるので注意が必要です。

中毒症状はありますが、見ての通り通常飲む量では、ほぼ問題ない事がわかります。
通常の30倍以上の薬を一度に飲まなければ、過剰摂取による毒性はほぼないですので、痛みや熱が続いている時は無理せず服用しましょう。

カロナール錠と食品との関係

カロナール錠単体での服用では非常に安全に服用できるとお伝えしてきました。では食事との影響はどのようなものがあるでしょうか?
結論から言って一緒に服用する事で注意が必要は食品はほぼないです。
ですが、2点ほど注意が必要な食品があるので注意してください。

①アルコール
アルコールは肝臓で分解されて無害なものへと変化していきます。
その過程でお薬の分解を邪魔してしまい体の中のお薬の量が多くなってしまうので基本的にはお薬と一緒に飲むことはお勧めされていません。
中でもカロナール錠(アセトアミノフェン)は肝臓でアルコールと相互作用を起こしやすいので一緒に飲むのは控えた方が良い組み合わせになります。
先ほど高容量を服用すると中毒症状が出るとお伝えしましたが、アルコールを一緒に接種すると、通常量のカロナール錠の服用でも中毒症状(肝障害)が起きる可能性が指摘されています。

②糖分
カロナール錠は糖分の多い餡・クラッカー・ゼリー・炭水化物を多く含む食事と同時に服用すると、薬が吸収される速度が遅くなります。
カロナール錠は空腹時への投与は避けるとなっていますが、胃腸障害も少ないと言われています。すぐに効かせたい時は糖分とは一緒に服用しないようにしましょう。

飲み合わせによっても副作用の発現率が大きく変わります。
また禁忌ではないですが、相互作用が起きるお薬の組み合わせがいくつかあります。
医療用医薬品だけでなく、一般用医薬品にもアセトアミノフェンが含まれていることがありますので服用する際は専門家に相談をしましょう。

カロナール錠(アセトアミノフェン)まとめ

安全に使えると言われているお薬です。
感冒症状や痛み止めとして多くの患者様に処方されています。
安全なお薬ですが通常量を超えた量を服用すると体へ異常を生じる事があります。
使いやすいお薬だからこそ、色々なお薬に配合されているので、
気付かないうちに通常より多く服用してしまう危険があるお薬です。
お薬を安心、安全に使うためにも色々なお薬を服用する際は専門家に相談をするようにしましょう。
また、お酒との併用で一気にリスクが高くなるお薬です。
服薬をしている時はお酒を服用するのを控えて、ゆっくり体を休めましょう。
皆様のお役に立てるよう、これからも情報の追加・修正をしていきたいと思います。

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