組織運営の技術
組織運営の技術の手法
組織を運営するということは、めざすところ(目標)へ向けて計画を立てて、どのように計画を達成するかの道筋を、組織の基本方針として確立することから始まります。業務の執行にあたっては定期的に計画と現況を比較して、どのように状況が進んでいるかを検証します。検証では各種の記録と報告書を検討し、現在の状況を当初の計画と比較してどのような位置にあるのかを確認します。現在の位置が確認できたら改めて将来を見通します。当初の計画と現在の位置のずれの状況を確認したら、このまま計画通りに進めていけばよいのか、それとも計画の変更が必要なのかを検討します。そのためには当初計画を立てた時の仮定の検証が欠かせません。仮定は元のまま変更しないで、方法や手段を見直せば計画通りの目標達成は可能と想定できるのか、目標と仮定の変更も含めた計画の変更が必要になっていると推定するのかなどを検討するところが組織運営責任者のウデの見せ所です。
組織運営のウデは運営の技術をどこまで丁寧に辿るかによります。組織運営の技術の始まりは計画を立てるところにあります。計画を立てるということは将来を想定するということで、将来の想定はいろいろな仮定の下での検討です。いかに目標を達成するか仮定の下の想定が計画です。したがって、執行中に計画と現状とのずれが大きくなる理由の一つとして仮定が現状にあっていないとか、現状を反映していないことが考えられます。その時は仮定の見直しが必要になるわけですが、定期的に現状確認をすることで、進行状況の悪化実態の早期発見と早期の修正が可能になります。
避けなければならないのは、
1 ずれの発見が遅すぎること(定期的な検証が十分に行われていないとき)、
2 ずれの修正が小さすぎること(当初計画にこだわりすぎるとき)、
3 ずれの改善策が十分ではないこと(必要な方針変更を避けるとき)、
4 ずれの改善策が十分に検討されたものではないこと(場当たり的対応をするとき)
5 ずれの改善策の投入理由の説明をしないか理詰めの説明ができないこと(理屈が第三者に納得してもらえないとき)
などが挙げられます。
このような組織運営がわたしたちの社会では伝統的に繰り返されています。組織の運営において、物事を総合的に判断する(Political Decision)という手法が定着しているからです。しかし、Political Decisionに頼る組織運営は危機においては拙いといわざるを得ません。なぜならば、組織を運営する決定責任者が自らの立場を守るために理詰めの決定よりもPolitical Decisionを優先させるために、往々にして道を誤ることとなるからです。
自然災害においても想定外の事象が発生したと言えば、一般的には仕方がないという反応です。計画を立てるときに想定外が発生することも想定内とすることは可能です。仕方がないということで責任がなくなるわけではありません。想定外の発生に対応する組織運営が求められています。そのためには、業務執行に必要な主要要素の理屈に基づいた綿密な検討(いわゆる科学的思考法)が欠かせません。そして、その執行にあたっては現物確認と現状確認が重要です。
過去2年間のコロナ対策で綿密な計画を立てて、執行にあたっては週ごとに現状を確認し、必要に応じて計画を修正して先を見通すという運営の技術に基づく論理的な(根拠のある)組織運営がなされてきたのでしょうか。組織運営の技術の科学的な思考による判断をPolitical DecisionがOverruleできるとしても。自らの予想と違うからといって想定外として責任を逃れたり、「何とかしろっ!」と恫喝したりして組織を運営してきたことはなかったでしょうか。ウィルスに恫喝が効かないことは百も承知されているにも関わらず、です。
次表は検討すべき主要要素です。
組織を運営する手法は、1 計画を立てて、2 執行し、3 現状を確認して、4 将来を見通すことを繰り返すことです。組織を運営する技術は計画の立て方、業務執行の仕方と現状確認の仕方、そして将来想定の仕方の技術です。それぞれがどのような技術かは、また別の機会に説明します。
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