組織運営と責任者

プロジェクトマネジメントの成功はリーダーの資質によるところが大きいとよく言われています。本当でしょうか。
プロジェクトを執行するプロジェクトチームのリーダーをプロジェクトマネージャー(PM)と呼びます。プロジェクトを実施する組織にはプロジェクトチームとは別に組織の責任者がいます。
プロジェクトは大きく3つのセクションに分かれてプロジェクトの業務を担当します。プロジェクトを執行するセクションと、その直接部門(現場)を支援するサポート部門、そしてプロジェクトチームのプロジェクトマネジメントを管理する管理部門です。この3部門を率いる人をセクションマネージャー(SM)と呼び、PMに対して報告責任を持ちます。
大きなプロジェクトの場合、直接部門(現場)は一つではなく多数の専門部門を抱えます。そのように大きなプロジェクトではリーダーをプロジェクトダイレクター(PD)と呼び、各専門部門がそれぞれプロジェクトチームとして活動する場合は、各専門部門のリーダーをSMではなくPMと呼ぶこともあります。
下の図は標準的な組織とプロジェクトチームの概念図です。

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組織はプロジェクトチームが全力で業務が執行できるようにPMを任命するときにプロジェクトにかかわる全権をPMに与えなければなりません。PMに全権を委譲するということはPMにフリーハンドを与えることではありません。PMは組織の中での全権で、ちょうど各国に派遣される大使が外務省(政府)の中での全権大使と呼ばれるのと同じです。全権は組織の檻の中での全権です。
現地法人(現法)の社長が組織内での全権委譲をフリーハンドが与えられたとはき違えて問題を起こす例が後を絶たないのは、現法の業務内容を詳細に示していないので縛りがないか、現法の定期報告を本社側組織が十分に照査・検討をしないで現地任せにしているか、あるいは現法の報告が現況を正しく報告していないかのいずれかの場合が多いようです。現法をプロジェクトチームとすれば、問題を起こす現法はプロジェクトマネジメントができていません。また、本社側の組織も現法を脱線しないように運営する(定期的な現法の報告と両者の協議に基づく指示)義務があるという意味においてプロジェクトマネジメントができていません(義務を果たしていません)。
プロジェクトの成功は責任者の素質に頼るだけでは期待できません。組織やチームのプロジェクトマネジメントの基礎を築いたうえで基本に忠実な運営をすることがプロジェクトマネジメントです。正しいプロジェクトマネジメントを行って初めてリーダーの資質が問われることとなります。組織運営の技術を身につけた責任者が求められています。

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