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第2回 農と豊かさについて(やっと本編)

前書き(読み飛ばしても大丈夫です)

お久しぶりです。楠本です。
前回の投稿からあっという間に1ヶ月近くたっており
我ながらびっくりしています。
前回は、自己紹介だけで筆を置いてしまったので
今回こそ本題の「農と豊かさについて」を
掘り下げていきたいと思います。

前回の自己紹介では
豊かに暮らせていたはずの
現在の暮らしぶりに違和感を持ったこと、
その結果、「豊かさ」とは何か?と疑問に思ったことで
「農」に興味を持ったことに触れました。

その「農と豊かさ」に対する考えが
アグリイノベーション大学校(以下、AIC)で
どのように変わってきたのかを
今回と次回で下記のように2回に分けて書いてみたいと思います。
➢ 今回:入学前から入学まで
➢ 次回:入学後から現在

入学前の考え(まっさらな農のイメージ)

まず、「農」についての考えですが
入学前の僕は農のことを全く知らなかったので
農=悠々自適に自然と共に暮らす
といった、非常にふんわりとしたイメージでした。
(頑張ってる農家さんに怒られそうなイメージですね。すみません。。)

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また、「豊かさ」については
選択肢が豊富にある物質的な豊かさと
心が満たされる精神的な豊かさは
トレードオフの関係だと考えており
自分はどちらの生き方がしたいのだろうと悩んでいた頃です。

都会での物質的な豊かさを謳歌していたのですが
そのような暮らしに違和感を感じるようになったので
自分にとっては未知であり、精神的に豊かそうに思えた
自然に囲まれた農のある暮らしに興味を持ちました。

入学時の考え(農に対するモヤモヤ期)

「農」に興味を持ち、色々と調べてみると
大きく分けて慣行農業と有機農業の2つがあることを知りました。
(このときはまだ農薬の使用有無でばっくり分ける程度で
有機農業と自然農の違いは良く分かっていませんでした。。)

元々、環境問題に関心があり
持続可能な循環型社会を実現したいという思いがあったこと
子どもの頃から、あらゆるものと対話してみたいという
自分でもよくわからない謎の欲求があったことから
やるなら農薬や化学肥料不使用で植物と対話できそうな
有機農業が良いなと思い、そうした観点で更に深掘りしていきました。

すると、ショッキングなことに
「農」とは、自然と共に暮らすものと思っていたのに
実は農業が人類史初の環境破壊であったことや
現在食べている野菜が、そもそも自然発生的にある種ではなく
人為的に取捨選択された栽培種を食べていることを知りました。

食や農にこれまでは関心が無かったとは言え
そんなことも知らずにこれまで生きてきたんだなと
非常にショックを受けました。

農のある暮らしは人間と自然を分けない営みであり
日本古来の考えである「じねん」を体現するようなものと考えていた僕は
あるがままの自然ではなく、人間の作為により植物を育てる
この営みになんとなくモヤモヤしてしまい
心にソゲが刺さったように感じていました。

察しの良い方は気付いたかと思いますが
この頃は少し原理主義的な考えに
傾倒していた期間でした。

自分の思想を押し付けてこられるイメージがあり
オーガニック思想に凝り固まった人が少し苦手だったのですが
自分がそうなっていたかなと思います。。。

そうしたモヤモヤした想いの中、AICを見つけました。
農について頭でっかちな状態になっていたこともあり
こうなったらまずは経験してみないとわからないなと思い
早速現地見学会へ行くことにしました。

そこでは、農業に関して様々な話を伺いました。
ここでは印象に残った2つの話を紹介させていただきます。

一つ目:農家という生き方について
「農家はひとり一人が経営者となり
自らの暮らし方を自分で決めることができる。
晴耕雨読的な生き方をするもの、休み無く年中働くことも
どのような作物を育て、どのように収益をあげるかを
自分で決めることができる。」
(それが考えた通りに実現するかはまた別問題ですが。)

ついついサラリーマンをしていると、人生の意思決定を忘れ
ある程度決められたレールの上に乗ってしまっていることがあったので
目を覚まされたような気がしました。

二つ目:有機農業の誤解
「無農薬で、化学肥料を使わない有機農業で作る野菜が
美味しいわけではない。
野菜が本来の力を発揮し、健康的で元気に育った野菜が美味しいのであって有機農業=美味しいではない。
有機農業では、農薬を使わないため虫に喰われることがあり
虫が食べるほど美味しいという人もたまにいるが
本来であれば、健康的で元気に育った野菜は虫には喰われにくい。
野菜も人間と一緒で、健康な状態であれば病気になりにくいのと同じ。
化学肥料についても、人間の肉体改造と同様に考えることができ
化学肥料は、ドーピングやビタミン剤のようなもので
ある成分に特化した栄養を摂取することになるため
どこがでバランスを崩しやすい。」

何も知らなかったので、無農薬や化学肥料を使わなければ
美味しいのかと思ってたので、ビックリしました。
自分自身の身体で考えると確かにそりゃそうだなと
非常に納得しました。

これらの話を聞き、有機農業を生業とする生き方は
自分で人生の舵取りをする面白さもあり
植物や自然のことを知ることで生きることに繋がるので
ワクワクしそうだなと思いました。
ただ、農に対するモヤモヤはまだ少し残っていました。

そして、実は次の日、もう一つの学校見学にも行きました。
それが、丹波市立 農の学校です。
宣伝のようになってしまいますが
こちらは全日制で、AICの運営母体のマイファームと
丹波市が共同で運営している学校です。

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ここの見学に行った時に衝撃だったのが
素晴らしい景色の過ごす気持ち良さと
畑で収穫したての野菜を食べた時の美味しさです。

農の学校は山がすぐそばにあり、まさに里山といった場所でした。
そのため、風が心地良く空気が美味しくて、本当に気持ち良かったです。
そこでは、説明会の後に収穫と出荷調整(野菜を洗って袋詰め)の
体験をさせていただきました。

畑でほうれん草を収穫している時に
そのまま食べていいとのことでしたので
土から抜いてすぐのほうれん草を食べてみました。

そんな経験したことなかったのですが
余りのおいしさに、本当にびっくりして
驚いたトトロみたいな顔になった気がします。

今まで食べたどのほうれん草よりも
みずみずしく、かつ味が濃厚で
生命力が満ち溢れているように感じました。

それまでも「いただきます」は欠かさずしてきましたが
その言葉に、実感が伴った気がしました。
当たり前ですが、食べるということは、命を頂くことなんだなと。

こうした体験から、もっと植物のことを知り対話し続けることで
農に対するこのモヤモヤと向き合える気がしたこと
多角的に農業を学ぶことで、豊かな生き方について
自分なりの答えが出せそうだと思い、AICに入学することを決意しました。

今回のまとめ

書いてみると、前回の自己紹介の補強版みたいな内容ですが
多少なりとも読んでいただいた皆さんに面白いと
思ってもらえることを願いつつ、今回は締めたいと思います。

次回はいよいよ、AIC入学後の話になります。
非常にユニークな先生方や同期、卒業生の方々と対話することで
どのように自分の考えが変わったのか書いてみますので
良ければ次回も読んでいただけますと幸いです。

それでは、今回はここで失礼いたします。
読んでいただきありがとうございました。

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