農と豊かさについて考える中で、改めて仕事について考えたこと
良い仕事とは何か?
良い仕事と聞いて思い浮かぶのは天職という言葉。良く言われる天職とは、自分が夢中になれるほど好きで、そのことを通じて社会や他の人の役にも立ち食っていける仕事のことを指しているかと思います。
僕自身は、子供の頃から興味を持ったことは何でも自分でやりたがる性分なので、良い仕事とは何かと問われると、この夢中になれることを起点としている天職という考え方が割としっくりくる気がします。
このような仕事観の中で、AIC(アグリイノベーション大学校)で有機農業を学びつつ農と豊かさについて考えてきました。今回は、改めて仕事について考えてみたので、その内容を整理していきたいと思います。
農家は何を売っているのか?
仕事とは、誰かの役に立つことである。
その意味で考えると、農家とはシンプルに野菜を食べたい人に、野菜を届けることで役に立っている仕事と言えます。
じゃあ見出しは野菜やないか!と書いた自分でもツッコミたくなりますが、野菜を届ける相手が人間である以上、そこには様々な意味が付与されるのではと思います。
そのことを端的に表しているなと思ったとある漫画の一コマがあるので紹介させて頂きます。詳細は漫画を読んで頂くとして、このラーメンハゲ(ラーメン発見伝の芹沢)がいう「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!」は正にその通りと思っていて、人間は単にお腹が空いているから食べるわけじゃなく、食べることにも何らかの意味を見出して食っています。
僕自身の経験になりますが、ファーマーズマーケットが好きで良く行くのですが、その際に野菜への愛が詰まった生産者の話を聞くと、ついつい高くても買ってしまいます。そこでは、単に野菜を買うというよりも、「ここまで愛情持って育てられた野菜はどんな味がするのか確かめたい!」という好奇心であったり、「こんなに頑張っている人を応援したい!」といったファン的心理のようなもので野菜を買っています。
その時には、単に野菜を買うのではなく、そこに別の意味を見出し買っています。
天職としての農家
ファーマーズマーケットのように直接面と向かって会話できる場で、この人の野菜なら買いたいと思わせる農家さんとはどのような農家でしょうか?
僕がお会いした方の特徴を掘り下げてみると、心の底から野菜のことが好きで、むしろ愛しているような人であったり、野菜を育てることが楽しくて仕方なく話していてワクワク感が伝わってくるような人でした。そのような人はまさしく天職としての農家なのだと思います。
もちろん、そうした人は愛情や好奇心だけではなく、そうした想いをいかに伝えるかについても非常に研究されていると感じました。
余談になりますが、直接面と向かって会話できる場は、ある意味で残酷で、上記のような農家さんのところにはやっぱり人は集まりますが、一方でそうではない人達のところには人は集まっていませんでした。。。
天職としての農家さんとそうではない人達の違いはどこにあるのか?
それを考える上で参考になると思った人が「かつお食堂」を営む「鰹節伝道師」こと永松真依さんです。
提供しているのはねこまんまで一見すると誰もがつくれる商品です。
それにもかかわらず、行列ができるほどのお店となっているのは一重に永松さんのかつおへの愛情とその愛情を伝える創意工夫の結果だと思います。
永松さんはカツオのことが好きすぎて、24時間カツオのことを考えるほどの人で、全国各地の鰹節生産者を訪ね歩くような人です。そんなカツオ愛に溢れた人が目の前で丁寧に鰹節を削り、季節に応じた究極のねこまんまを提供してくれた上に、面白いカツオ談義を話してくれる。
仮に、永松さんにカツオ愛が無く、普通のねこまんまを提供するだけのお店だったら、おそらくお客さまは来ないと思います。また、永松さんがお店をする前に、いきなり鰹節をパック詰めしてECサイト等で販売してもなかなか難しかったのではないかと思います。
永松さんの例を踏まえて考えると、天職とするには
・無我夢中になり、どこまでも愛情を注げることは何か?
・その想いを他の人に伝え、喜んでもらうにはどうすればいいのか?
この2点を徹底的に掘り下げて考えていくことが、大切なのだと思います。
書いてみるとそりゃそうだって感じの、当然のような結論ですが(笑)
本来ならばここからが本論で、じゃあこの2つをどのように掘り下げていくのかについて、自分がこれまでしてきた合気道や茶道と絡めて書いていきたかったのですが、それは次回のテーマにしたいと思います。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!!